琉球・沖縄の歴史の個人的な謎 近代にいたるまで女性が文字を読めなかったこと 番外編その7

前回の記事で世界の三大宗教において呪術的思考の克服に成功したのはイスラム教だけであることを説明しました。ブログ主が思うに、イスラム教が呪術の排除に成功した理由は

1.新しい権威(イスラム教)が従来の権威(呪術とその思考法)を時間をかけて駆逐したこと。

2.新しい権威の普及には男性だけでなく、女性の力も関与していたこと。

3.医学の発達。

になります。イスラム教は偶像崇拝には極めて厳しい宗教ですが、其の他の項目に関しては反イスラムでなければOKのゆるゆるな態度です。布教に対しては現地の慣習との衝突が避けられないのですが、時間をかけてゆっくりとイスラムの教えを普及させます。ここでのポイントは権力を以て性急かつ強引に従来の慣習を潰そうとしなかったことです。

それに対してに現代のアフガニスタンにおけるタリバンやISのやり方は従来のイスラムの布教方法とは極めてかけ離れたやり方です。支配地域を権力を以て一気にイスラム色に染めようとしますが、やはり上手くいきません。イランも同様です。彼らの政策は従来の権威に対して政治権力を以て潰そうという無謀かつ不合理な方法と言わざるを得ません。

ここで琉球王国時代の為政者たちのユタに対する態度を振り返ると、彼らは一様に政治権力を以てユタを排除しようと試みますユタ問題の本質は

1.1609年(慶長14)の薩摩入り後の社会環境の変化で、従来の神女組織の権威低下を埋める形で誕生した新たな権威であること。

2.呪術および呪術を駆使する者(この場合はユタ)に対する憧れと恐れの感情が強いこと。

の2点にあり、よくよく考えると人間の心(内面)かつ権威の問題であることが分かります。それ故に内面あるいは権威の問題を政治権力で潰そうとするのは極めて愚かで絶対に失敗する行為であるのは明白なのです。人間の内面を変化させるのは新しい権威をぶつけることだけで、当時の琉球王国の為政者たちは、その新しい権威を提供することができなかったのです。だから権力を以て潰さざるを得なかったのです。(続く)

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