イスラム教とは何ぞや?と問われると「預言者ムハンマドによって爆発的に布教した神の教え」と回答して間違いないでしょう。神の教えはムハンマドの死後聖典として編纂され、アラビアのみならず西はアンダルス(スペイン)やアフリカ大陸、東はインドを経て東南アジアや中国大陸、フィリピンのミンダナオにまで広まります。
かくも広範囲に普及した理由のひとつにイスラムの教えで移動の自由を大幅に認めていることがあります。イスラム圏には各地にマドラサ(学問所)が建設され、イスラムの法学者は各地に点在するマドラサを訪れることによって世界各地への旅行が可能になります。
もうひとつの理由はイスラム教徒の航海能力の高さです。イスラム教の伝播に商人たちの果たした役割は非常に大きいのですが、それを可能にしたのも卓越した航海の技術があったからです。イスラム教徒は聖地メッカに巡礼する義務*があります。そのことを可能にするために当事としては最高レベルで移動のネットワークを形成することに成功したのです(続く)。
*六信と五行のうちの巡礼(ハッジ)。14世紀には何と年間7万人の巡礼者が聖地メッカに訪れています。
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