SNS 「領事裁判権」についての訂正記事

前回コラム「亞米利加合衆國琉球王國政府トノ定約」のなかの第四条の解釈についてフェイスブック上でご指摘がありました。投稿者は玉城有一朗先生で、その内容を掲載します。

領事裁判権は実際に領事を交換して成立します。該当の条文にあるのは、①琉球役人が米人の容疑者を捕縛したとき、彼らを罰する前に、②米人の属する船主に通告してから、役人は職務を執行しなさい、ということです。琉球国は米国に領事を派遣してはいません。ここは厳密に解釈するところです。

一 合衆國人民、上岸、俱要任從其遊行各處、毋得遣差追随之、窺探之、但或闖入人家、或妨婦女、或強買物件、又別有不法之事、則宜地方官拿縛該人不可打之、然後往報船主自能執責

・合衆国船中ノ人上陸ノ節ハ附添人或ハ所業監察ノ官員ナクシテ随意ノ所へ徘徊自由タルベシ、然レドモ強テ人家ヘ踏ミ入リ女ニ戯レ人民ヲシテ無理ニ物品ヲ買シメ其他不法ノ挙動イタサバ地方官ニテ召捕フベシ、最モ麁暴ノ取扱アル可カラズ、而メ刑罰ニ付テハ其船主ヘ報知スベシ。

琉米修好条約の上記条項が実際にどのように運用されたかはまだ確認ができませんが、条文を再チェックすると玉城先生のご指摘が正鵠を得ていることが分かります。ブログ主(および Wikipedia の編集者)が勘違いしていたことも再確認できました。

当時の琉球国は米国に領事を派遣していませんし、上記条文には「報知」あるいは「然後往報船主」と記載されていまして、これは船主側で裁判を行う意味ではありません。故に琉球国が国家主権を行使して相手国に対して「領事裁判権」を認めたとのブログ主の記述も間違いであることが分かりました。この場を借りて訂正します。そしてわざわざご指摘いただいた玉城先生に対して感謝の意を表して、今回の記事を終了します。