今回は、今月26日投開票の第14回沖縄市長選挙において花城大輔候補に「大敗」した仲村未央候補について言及しますが、敗北はともかく8千票差は想定外でしたので、27日以降の沖縄二紙の特集記事を慎重にチェックしつつブログ主なりの考えをまとめてみました。
とはいっても、先月28日の出馬表明から、選挙戦に至るまでに抱いた”違和感” と27日以降の新聞史料の内容がだいたい合っていたので、「ああ、やっぱり」との結論にはなりました。
たしかに今回の沖縄市長選は花城・仲村両候補ともに「降って湧いた話」そのものなのですが、「私は何が何でも市長になる」との “決意の差” はハッキリしてました。その傍証として仲村氏が掲げた公約を見ると、ご本人が一番やりたかったであろう「みんなの声市民会議(仮称)」の優先順位が低かったからです。それは仲村陣営が配布した選挙用チラシを見ると一目瞭然です。
仲村陣営の選挙戦における「ソフト路線」は要約すると、「多種多様な “声” をくみ上げることによって、対立を超えた市政運営」であり、それを実現するための目玉政策が「みんなの声市民会議」なんですが、出馬会見時における「具体的な意見収集の方法は今後検討する」との説明、そして選挙用チラシの優先順位の低さ、それだけでなく、告示後の選挙戦を通じても具体案が見えてこなかったので、「彼女は本気で市長になるつもりがあるのか」と思わざるを得なかったです。
それだけならまだいいんですが、沖縄二紙をチェックすると、仲村陣営の「気の緩み」が酷すぎますね。一例を挙げると、
「勝った」
年の瀬が迫る12月22日夜、県政与党エースの仲村未央氏(52)が正式に出馬要請を受託すると、支持者に “吉報” が駆け巡り、早くも勝利宣言が飛び交った。過去の沖縄市長選で何度も有力視され、待望論が強かった故の本音だった。
選対は、昨年6月の県議選沖縄市区(定数5)に立候補した仲村氏を含む3人の革新系勢力が集めた総得票数2万3510票を基礎票と位置付けた。実績と知名度が高い女性市長候補の登場で、投票率は前回2022年の45.14%を上回ると予測した。
桑江朝千夫市政の継承とハード政策に重点を置き、市内企業などの組織票を固める花城大輔氏(53)への対抗策は、無党派層と女性層の取り込みに照準を定めた。そのカンフル剤として子育てや教育、福祉などを軸にしたソフト政策を前面に打ち出し「ハード対ソフト」の構図をもくろんだ。
支持者の間には「候補者、政策、戦略いずれも申し分ない」という見方が広がった。さらに、仲村氏がリードしているという調査も重なり、選挙前から勝利を確信したかのような空気が漂った。(令和07年1月29日付沖縄タイムス2面)
とあり、他にも記事を拾い上げてみると、
・支援者の一部で「大丈夫論」が先行して一枚岩となった選挙態勢を構築できなかった。(令和07年1月27日付沖縄タイムス2面)
・オール沖縄は県内政党の「選挙互助会」と批判されることもあったが、互助会としても機能しなくなっている。(令和07年1月27日付沖縄タイムス5面社説)
・”身内” だけが盛り上がる典型的な負けパターンが描かれ、修正する効果的な打開策もままならない。(令和07年1月29日付沖縄タイムス2面)
とあり、「戦略ミス」を強調する琉球新報の特集記事と違い、タイムス側は仲村陣営の体たらくを厳しく批判しています。要約すると仲村氏が出馬を引き受けた時点で「典型的な負けパターン」が超速で醸成され、それを選対が軌道修正できなかったになりましょうか。ハッキリいうと
無能
であり、そんな連中に付き合わされた仲村さんが気の毒でなりません。
最後に、これは仲村さんは直接かかわった話ではありませんが、前々回の沖縄市長選で「1万人アリーナよりも、給食センター、学校、児童館、市営住宅の建設を先に」を強く訴えた諸見里ひろみ候補の応援に名を連ねた影響は深刻でしたね(立場上そうせざるを得ない)。その証拠に仲村さんは10代から40代にかけて圧倒的に支持されておらず、しかもこの世代は琉球ゴールデンキングスのファン層の “ど真ん中” なのです。
沖縄アリーナの件に関して、革新陣営は手の打ちようがなかったはずです。試しに下記引用をご参照ください。
花城陣営は終盤にかけて、応援演説に入っていた玉城デニー知事の政治姿勢や、沖縄アリーナの抗争時に革新候補が反対していたことへの批判を激化させた。SNSで一部のバスケファンの間では「沖縄アリーナ、キングスのこととか何もしてくれないんじゃないか」などとの言説が拡散。仲村未央氏への不信が広がりを見せていた。
仲村陣営では「仲村候補自身は賛否を示していなかったはずだ。完成した事業のことをいつまで言うのか」との声もあり、強く反論する姿勢は見せなかった。(令和07年1月28日付琉球新報2面)
いかがでしょうか。外部の宜野湾民であることを承知のうえで、ブログ主なりに仲村氏の敗因を深堀してみましたが、宜野湾市長選と違い “エース級” を無駄遣いしたオール沖縄陣営に対して、いかりや長介さんの「名言」で今回の記事を〆ます。