前日(8月29日)の当ブログにて、北朝鮮のミサイル発射に対する沖縄2紙の社説をブログ主なりに予想してみましたが、本日(8月30日)琉球新報、沖縄タイムスともに社説で北ミサイル発射について掲載していました。ブログ主は両社説をチェックしたのですが、琉球新報は冷静な論調であったのに対して沖縄タイムスは混乱極まりない内容の印象を受けました。先ずは琉球新報の社説を掲載しますので、読者の皆さん是非ご参照ください。
~社説 北ミサイル日本通過 平和脅かす権利はない~
弾道ミサイル発射を繰り返し、世界の平和を脅かす道をひらすら歩むことに何ら正当性はなく、その権利もない。北朝鮮はそのことを深く認識すべきである。朝鮮半島情勢の緊張を高める愚行を重ねることはやめるべきだ。
北朝鮮の発射した弾道ミサイル1発が北海道上空を通過し、太平洋上に落下した。日本国民を不安に陥れる暴挙であり、強く抗議する。
日本上空を北朝鮮のミサイルが通過したのは5回目であり。2016年2月には「人工衛星打ち上げ」と称して長距離弾道ミサイルを発射し、先島上空を通過している。
防衛省は、今回発射されたのは最大射程5千キロの新型中距離弾道ミサイル「火星12号」とみている。日本の南から北までが、北朝鮮のミサイルの脅威にさらされていることになる。
ミサイル発射によって北海道なので、休校や始業遅れが相次いだ。新幹線やJR在来線、私鉄の一部路線が運転を一時的に見合わせるなどしてダイヤが乱れ、利用者に影響が出た。全くもって言語道断な話である。
北朝鮮の団体「朝鮮平和擁護全国民族委員会」は今年6月、報道声明を発表し、日本政府が国際会議で北朝鮮の弾道ミサイル発射を批判していることなどを非難し「今のように日本が不届きに振る舞うなら、有事に米国より先に日本列島が丸ごと焦土になり得る」と警告してもいた。
許し難い脅しである。ただし、菅義偉官房長官が今回のミサイル発射を受けて「冷静に平常通りの生活を送ってほしい」と呼び掛けたように、過敏に反応する必要は全くない。敵視はさらなる緊張を生みかねない。自重する必要がある。
疑問なのは日米首脳の対応だ。安倍晋三首相はトランプ米大統領と電話で協議し、対話の時ではないとして、北朝鮮に、さらに圧力を強めていくことで一致した。
確かに、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が国際社会の非難に耳を貸すことは現時点では想像し難い。だからといって、不毛の挑発行為を繰り返す北朝鮮の土俵にあがることは得策ではない。
圧力一辺倒によって、これまで何ら成果が出ていないことからも、北朝鮮との対話を模索することを放棄してはならない。
あらゆる機会を通して北朝鮮に自制を促すことが今、求められている。危機を回避することを最優先に取り組むべきである。国際社会は一致協力して、北朝鮮が危険な道から引き返すよう取り組みを強化してほしい。
ミサイルの脅しによって自らの主張を押し通す姿勢は、平和を希求すべき国家としてあるまじき姿である。世界で孤立することは、北朝鮮にとっても不幸である。核やミサイルを廃棄し、国を自滅させる誤った道から今こそ引き返す時だ。
上記の社説の是非は置いといて、今回のミサイル発射の事態に対して新報社の立場は明快です。「北朝鮮のミサイル発射は平和を脅かす愚行であり許し難い行為である、ただし日米両国は圧力一辺倒ではなく対話を含む外交努力を惜しむべきではない」との主張がハッキリと伺えます。余計な文章もなく、非常に読みやすい内容でブログ主はさすがプロだと感心しました。
この社説の素晴らしいところは、ブログ主が前に掲載した予測社説にある「憲法9条」とか「辺野古移設反対運動」などの今回の案件とは無関係な単語が一切入っていないことです。当たり前のことですが、ミサイル発射事実と日本社会に与えた影響と、日米両国の外交方針に対する注文など必要最小限な内容で丁寧に纏めています。「圧力一辺倒ではなく、対話も含めた外交努力を」との主張はブログ主が予測した通りですが、文章力は琉球新報社の社説のほうが上です。
30~40年前の昭和の進歩的文化人ならおそらくブログ主が掲載したような文面になるでしょう。琉球新報社として北朝鮮のミサイル発射を含む挑発行為に関しては一貫した方針があるのかもしれません。その主張には賛同できない部分もありますが、文章の纏め方については大いに参考になりました。これが沖縄タイムスの社説になると驚くほど支離滅裂な内容になって本当にビックリします。同じ新聞社でも何故ここまで違うのか摩訶不思議ですが、タイムスの社説は次回の記事で全文掲載します。(続く)。