以前からうわさには聞いていたのですが、沖縄県の竹富町の住民らが那覇市の不動産会社(株)アールジェイエステート社が計画しているリゾート事業に反対している件について、ブログ主はかつて観光関連で竹富島の業者等と関わったことがあり、その際の経験から今回のリゾート計画に関しての感想を記述します。
実は沖縄の地方自治体において竹富島は極めて特殊な立場にあります。それは自治体が観光事業を介して「共同体化」していることです。この点を考慮しないと、なぜ竹富島の住民が新規リゾート事業に反対しているか理解できないと思われます。つまり竹富島の観光事業は営利が目的ではなく、「町内共同体の再構築」を目的に運営されているのです。
この点はブログ主か何度か竹富島を訪問した際に、観光に従事する人たちに関わって強く感じたことです。現実には観光収入という「利権」の配分等の問題があるため、住民間の葛藤は大きかったのではと思いますし、竹富島観光事業の最大の弱点である「若年労働者の絶対的な不足」を補うことも容易ではないのですが、ここまでは「共同体の再構築」と「営利」のバランスをうまく取りながら事業を運営してきたことは間違いありません。
今回那覇の不動産会社が竹富島のリゾート開発に乗り出した場合は、かろうじて維持されている町内の共同体が崩壊する恐れがあり、町民はそのことを何よりも恐れているのです。一番の問題は(株)アールジェイエステート社がそのことを全くと言っていいほど考慮せずに、法律要件を満たし、かつ島内経済に貢献すればいいとの発想でリゾート開発に乗り出そうとしていることです。実際に竹富島の島内コミュニティーの要請と会社の利害が対立した場合は、営利目的で運営されているアールジェイエステート社は自社の立場を優先するでしょう。そのときに竹富島のコミュニティーに大きな亀裂が入る可能性があります。
竹富島の過疎化は深刻な状況なので、近い将来に観光事業を通じての共同体が維持できなくなる恐れがあります。内部から崩壊するかもしれませんが、そのときは島民たちが将来どうするかを決めればいい話です。今回のように外来者によってコミュニティーの崩壊を誘導される事態になったらそれこそ最悪です。いったん亀裂が入った共同体は修復にすごく時間がかかります。竹富島の将来に大きな禍根を残すかもしれません。だからブログ主は今回のリゾート開発には大反対せざるを得ないのです(終わり)。