本日(10月20日)の沖縄タイムスに興味を引く記事がありましたので全文を抜粋します。
論壇 権力の監視 新聞の使命 NIE 子の成長にも役割
15日から新聞週間が始まった。本年度の代表標語は「新聞で見分けるフェイク知るファクト」である。さまざまな情報があふれている今こそ、丹念な取材で裏付けされた事実に触れたい。新聞週間は1948年から始まって今年で70回目となった。
新聞は地元の話題から国際情勢まで真摯に事実を掘り起こして真実に迫り、日々読者に提供する。新聞週間は民主主義社会における新聞の重要性を国民に啓発すると同時に新聞人自らが新聞の自由と責任について自覚を新たにすることを目的に制定したといわれている。新聞には一覧性があり、ニュースの重要性も一目で分かる。少しでも物事を深く知ろうとする人には欠かせない情報の広場である。食料品を生命の再生産に不可欠な必需品とするなら、新聞や書籍は心や精神の再生産のための必需品である。
新聞の大事なところは単に世の中で起こる事柄を国民に知ってもらうことだけではない。また、報道とは国民の知る権利に応えるだけのものではない。新聞の使命は政治の暴走、国政の行き過ぎや誤りを正すことである。日本の民主化のため、権力の横暴をえぐり出し、世論を形成し、社会を平和で豊かな方向へと導くことがジャーナリズムの使命であろう。
国民の取るべき道は、一人一人の力で日本の平和憲法を守り抜くことができるかどうかにかかっている。特に沖縄は最大の懸案である辺野古問題をどう乗り切るか。国益のためとして新基地反対の沖縄の圧倒的な民意を踏みにじることは民主主義の否定であり、日米両政府が県民に対してやっていることは差別であり蔑視以外何者でもない。県紙は過重な基地負担を背負っている沖縄の地元紙として不正義にあがらい続け紙面作りを続けている。日々新聞に親しみ知性を磨き、自らの確とした主張・意見を持ちたいと思う。
NIE実践校の成果報告に「新聞を活用すると自然な形で社会を学べ、思考力、判断力、表現力を育む」とある。新聞は教室と社会をつなぐ大きな役目を果たしていることを改めて認識させられる。小学校の低学年からNIEに尽力している昨今、新聞に触れればその分、視野が広がり、望ましい成長へつながっていく。新聞は世界を映す鏡であり、知性を磨く重要な教科書である。NIEの推進により若者が日々、新聞に親しめば健全な世論形成へとつながるだろう。
新聞は「今」を映すだけのものではなく、望ましい「未来」も照射する。学びにより人は豊かになれる。(那覇市、会社代表、42歳)
上記投稿の面白いところは、読者の投稿という形をとっていますが、バカ正直と言ってもいいぐらいに新聞社の本音を代弁しているところです。しかも掲載日が衆議院議員選挙の投票日である22日の二日前というところに何らかの作為を感じざるをえません。深読みしすぎでしょうか。
「新聞の使命は政治の暴走、国政の行き過ぎや誤りを正すことである。日本の民主化のため、権力の横暴をえぐり出し、世論を形成し、社会を平和で豊かな方向へ導くことがジャーナリズムの使命であろう」とのご指摘はごもっともですが、そのためにはマスメディア側に高度な公平性を保つ必要があります。
報道の公平性(つまりフェアーであること)は、情報を可能な限り平等に扱うことです。例えば辺野古を例に取り上げると、確かに沖縄県内では移設反対が民意と言っても過言ではありません。だがしかし日本全体を見ると、辺野古移設に賛成の自民・公明、そして大阪維新が国会で多数議席を確保している現状から鑑みて、移設賛成が国の民意と解釈できるのです。ハッキリ言えば「決まったことだから早く移設しろ」が他府県民の本音でしょう。クオリティーペーパーなら両者の立場を公平に扱い、そして大衆に分かりやすく解説する必要があります。
マスメディアは中立である必要はありません。己の立場を明確にして、その方針に従った記事を配信すればいいのです。ただし反対の立場の主張も可能な限り取り上げて解説する義務があります。これが大衆マスメディアにおける公平性で、残念ながら県内2紙には「はたしてあなたがたはフェアーか?」と世間から問われているのが現状なのです。
あと個人的には新聞素材を教育に使うのは反対です。理由としてマスメディアは建前と本音がハッキリしているからです。つまり建前は「いい記事だから読者が支持する」、本音は「読者が支持したらいい記事」で、ズバリ「売れたらいい記事」という絶対に公言できない不文律があります。記者本人が自画自賛する記事も、購読者が減少したら商業マスメディアとしては何の意味もありません。建前と本音の狭間で苦しんでいる紙面を教育の現場に持ち込むのはどうかと思います。
「新聞で見分けるフェイク知るファクト」の標語について、既存マスコミそのものがフェイクと疑われている昨今、何の自虐ネタかと一瞬思いました。ブログ主にとって県内2紙で読む価値がある箇所は“県三役動向、市長動向”と“おくやみ欄”の2箇所だけです。とくに県三役や市長動向は必見ですが、あとの情報はネットで事足ります。現代社会は高度な情報発信の自由が保障されています。その利点を生かして新聞だけに頼ることなく様々な情報を入手し、そして判断するほうが「望ましい「未来」も照射する。学びにより人は豊かになれる」とブログ主は確信する次第であります(終わり)。
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