婦人の見た中国 ⑥ 婦人の地位

結婚を前提としない恋愛、一夫一婦制以外の性関係は考えられないといいましたが、たしかにこの国には絶対といっていいほど売春がないとのことでした。

以前魔窟と呼ばれた上海の都市から3年がかりでアヘンと売春を追放した運動は婦人を動員して徹底的に行われたということをきいていたが、それを証明するように中国のどこへ行っても、トルコぶろはおろか、バー、キャバレーの類さえ街には全く見つけることが出来ませんでした。ネオンがはんらんしている沖縄から行って、まさに驚きでした。同時に中国婦人の社会革命運動の成果として大いに学ぶ必要があると思います。

中国では「国家は独立を求め、民族は解放を求め、人民は革命を求める」ことが、いまやさえぎることの出来ない歴史的潮流となっている。「胸に祖国を思い目を世界に放つ」という観点に立って、全世界に開かれ、私たちに対してもあふれるような友情がそそがれ熱烈な歓迎をしてくれました。

資本主義制度の生活になれた私たちから見れば、これまでのべてきたように、あれやこれやうらやましい半面、また窮屈で不自由で大へんだな – と割り切れない思いをしておりますが、各国の制度や思想、発想の面から考えるべきかも知れません。

しかし何といっても社会主義中国の婦人たちは、いまや情熱にあふれ、大胆に考え、大胆に行動する革命的精神と人民に奉仕するかたい決意をもって、以前中国の婦人がやれなかった事を実践している。文字どおり、天の半分を支えている生活の場を交流を通じて見ることによって、社会主義制度の優位性を確認できたことは、国際婦人年にふさわしい意義があったと思います。

資本主義体制の中では、常に労働者が犠牲にされ、とりわけ婦人労働政策の不備から夫人の社会参加のワクが制約され、国際婦人年の課題である発展の目標達成にも大きな障害になっています。

また、私たち婦人も社会の矛盾の中にありながらも、家庭での婦人の地位の改善と、社会参加への無関心層が多く、多くの婦人が家庭で、しゅうとめやしゅうとといい争い、夫と悶着(もんちゃく)を起こし、あげくのはては、家庭不和を起こし、最近では離婚や別居が高率を生み出しています。

今年は国際婦人年です。これを契機として、夫人の解放をめざし国際婦人年の目標「平和・平等・発展」達成のため、家事労働の民主化と婦人労働者の社会的条件の確立をみんなでかち取りましょう。

そのため婦人は、視野を広げ婦人の真の解放を実現するには、社会全体に目を向けなければなりません。

家庭は社会の細胞です。社会を改造しなければ家庭を改造することは出来ません。婦人が社会で地位を得たら家庭関係にも変化が起こり、男女も初めて平等になれるわけです。その実現に向けて、たとえ社会制度の相違があっても、婦人労働者の共通課題を解決するために世界の婦人との友好、連帯が必要です。

今後、大陸で学んだことを、今後の婦人運動の中に反映させていきたいと考えます。(おわり)(昭和50年10月17日付琉球新報夕刊02面)

 

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