教育には、その国の現状とその目指すところが最もよく表現されているといわれているが、プロ文革以後の中国では、思想第一、政治第二という階級教育の大原則をふまえた上で、基本的な教育方針を設定している。すなわち、徳育、知育、体育のいずれの面でも成長させ、社会主義的自覚をもつ教義を備えた勤労者に育てあげることである。教育はプロレタリア階級の政治に奉仕しなければならないという方針がとられ、中国全土で貫かれ教育革命が進行している。
革命以前の教育は、政治、生産労働、人民大衆とは無縁で、点数主義、つめこみ主義、つまり「黒板の上で田植えする」という誤った思想と政治によって、中国の教育に重大な障害をもたらしたという。学校教育における三大遊離(政治、生産労働、人民大衆)を克服するとともに従来の教育制度を改め、教育を生産労働と固く結びつける方針が徹底的にとられ、幼稚園までさかのぼって、集団教育の中で、取り入れられている。幼少のころから、労働を愛し、勤労人民を愛する思想感情を培うという方針は、中国における教育の特徴といえましょう。
教科書はガリ刷り / 筆箱はブリキ製のもの
どこの小中学校でも規模はさまざまですが、校営の工場や農場を持っており、そこで生産労働に従事する以外に近くの工場や人民公社の農場に一定期間(一年のうち約二カ月)出向いて、現場の労働者や農民兵士等と生活を共にしながら、一緒に生産労働に励み、学校で学んだ理論と実践をいかして具体的に理解、認識を深めるのである。
学校運営も、革命委員会、学生行政幹部によって運営されている。学校の教科書は、日本の終戦直後のようにガリ刷りで、あまりお金をかけないで作られたいわゆるパンフレットみたいなものである。子供たちの持ち物は質素というより粗末といった方がピッタリ。ブリキ製の筆箱に小刀で削った鉛筆と消しゴムが入っているだけで、最近の日本の子供たちのような贅沢な学用品は見られません。
また、学力を調べるために日本と同じ試験制度もあるが、前もって出題し、教科書や参考書を見たり、友だち同士(六人一グループ)で教えあいながら試験にとりくむという方法がとられ、採点もそれぞれのグループで評価し合っている。
修学年限は、旧制度では日本と同じ六・三・三制だったらしいが、プロ文革後では、インテリを特権階級化せず、学問と労働を分離させまいとすることで、修学年限は、今のところ各地でまちまちだが短縮されて来たという。
小学校五年、中学校三年、高校二年が普通教育となっている。中国では義務教育を普通教育と呼んで、五・三・二制がそれにあたる。
大学への進学は、高校過程を終えた後、さらに二年以上の労働による実社会の体験をつみ、本人の意思と所属職場の勤労大衆からの推せん、所定の学力テストを経て、その上大学側で主として思想、政治、学力、人民に奉仕する精神等の基準をきびしく審査してはじめて入学できる。入学すれば、すべて国費で存分に勉強できる。
また、通常の学校の外に課外活動も開放され、保障されている。労働者や職員、兵士も思想、政治を学習する。職場での共同学習、地域社会での教学活動、家庭学習等も自発的に組織され、中国の社会全体が、いわば学校となっている。
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