3月4日未明、琉真会アジトに銃弾が撃ち込まれて以降、連続発生した短銃発砲事件。さる18日には、ついに暴力団1人が射殺され、1人が重傷を負う事件が発生、住民の不安はつのるばかりだ。
組織暴力団 - 火を吹く抗争(全10回)
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ⑨ 住民運動
去る23日午前10時、那覇地裁民事第三部(浜川玄吉裁判官)で、琉真会アジト明け渡し訴訟の第一回口頭弁論が開かれた。被告の琉真会会長・仲本政弘は出廷せず、法廷に姿を見せたのは原告代理人ただ1人。原告の上原能吉さんは出張中ということだったが、傍聴席もアジト近くに住む住民1人が来ただけで、暴力追放への住民の関心は薄かった。各地で上がった暴力追放の火の手は、このまま消えてしまうのだろうか…。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ⑧ 勢力と構成
暴力団の犯罪は組織をバックにして行われる。ユスリ、タカリのたぐいから企業の乗っ取りまで組織的に悪事を重ねる。
「個人個人だったら取り締まりも問題はない。暴力団は組織として悪いことをするから始末が悪い」と警察は暴力団取り締まりに手を焼く。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ⑦ 資金源〈下〉
ゆすり、たかり、ヒモ、バクチなどのほか資金源として有名なのがナワ張り料。しかし、ナワ張り料についても警察は、その実態をよくつかんでいない。警察のある幹部は「確かにナワ張り料を徴収していると思う。しかし、被害者からの訴えは全くない」と言う。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ⑥ 資金源〈上〉
甘い砂糖にアリがむらがるように暴力団も金と言う甘い汁にむらがっている。そのためには暴力に訴えることなど朝飯前。ヒモとなって女性のかせぎを吸い、果ては人殺しさえも平気だ。「社会のダニ」「アシバー」(遊び人)と世間からさげすまれても “甘い汁” がある限り、彼らは暴力団をやめない。いま、社会不安をつのらせている一連の暴力団抗争事件も、つまるところ、資金源の奪い合いが引き金となっている。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ⑤ 組織と武器
抗争が激化するにつれて、暴力団は銃器の確保に躍起となり、暴力団の “武装化” はますます強化されていく。短銃をしのばせ、連日連夜、車に分乗して走り回る旭琉会行動隊員。上原組、琉真組が相次いで本土広域暴力団・山口組系大平組と杯を交わし、アジトを構えたことから、抗争はエスカレートした。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ④ 山口組進出のねらい
山口組の沖縄進出のネライは何だろうか。短銃などの武器貯蔵庫とか、覚せい剤や麻薬の密売や密輸ルートとしてなど、いろいろ取りざたされている。だが、本当のところは県警も、山口組を迎え撃つ旭琉会さえもつかんでいないようだ。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 まとめページ
昭和52(1977)年5月20日付琉球新報11面から10回に渡って連載された特集記事 “組織暴力団 – 火を吹く抗争” のまとめページを作成しました。
ちなみにこの特集記事が掲載されたきっかけは、同年5月18日に那覇市牧志の十貫瀬で発生した旭琉会組員による射殺事件です。同年3月から旭琉会による上原組・琉真組に対する襲撃事件が頻発するようになり、その流れで射殺事件が起こったわけですが、さすがにこの事件は沖縄県警および世論の怒りを買います。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ③ 抗争事件の底流〈下〉
沖縄連合旭琉会が結成されたのは昭和45年12月8日。沖縄は念願の祖国復帰を目前に控え、各界の復帰対策が進められていた。組織暴力団も例外でなく、復帰対策を練った。その結論が沖縄連合旭琉会の結成だった。これまで血なまぐさい対立抗争を繰り返してきた那覇派と山原派が過去のことをすべて水に流し、“大同団結” 、復帰後予想される本土広域暴力団の沖縄進出を阻止することになった。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ② 抗争事件の底流〈上〉
暴力団抗争事件の底流にあるのは何か – 。ひとつひとつの抗争事件が、次の事件へのいきがかりとなり、さらに新たな事件の引き金となっていく。報復が報復を呼び、憎しみだけがどす黒い血となって流される。
互いの憎悪が抗争事件を次から次へと生み出しているが、その本当のきっかけは県警もつかんでいないようだ。結局、抗争事件の現象から推測するほかはない。
組織暴力団 – 火を吹く抗争 ① 過熱する銃撃戦
再び火を吹く暴力団抗争事件 – 。「殺(や)られる前に殺れ」「殺やれたら殺り返せ」とばかりに短銃を乱射、抗争事件に全く無関係な一般市民をふるえあがらせている。ビルの事務所に実弾が撃ち込まれたり、民衆をねらい撃ちするなどその傍若無人の “武力抗争” はエスカレートするばかりだ。ところかまわず乱射する凶弾に市民が巻きぞえ食わないとだれが保証できるだろう。頼りとする警察の「暴力団壊滅作戦」も後手続きで効果はさっぱり。市民の不安はつのるばかりだ。この “狂気の抗争” はいったいいつまで続くのだろうか – 。