コザ市山里区の西 – 。郊外の松林は雑木にかこまれた金網の建て物がある。ここが琉球少年院 – 。”黒い芽” たちが裁判所を経て、最後に行きつく教育の場である。職員は、教官、事務員を合わせて50人。108人の男子と女子20人を収容する。
金網と官舎、狭い中庭と教室 – 。ここの設備は、いたって乏しく、定員の2.4倍を超越する収容児童たちは、文字どおりに身動きできない窮屈さと、うつ積するエネルギーのやり場のなさに “動物扱い” だと怒る。しかし少年たちの顔は明るい。それは “おかあさんが面会で笑顔をみせてくれた” から。そして “父が元気でやっているか” と、久しぶりに肩を抱いてくれたからだという。
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那覇市寄宮の沖縄大学裏通りから国場方面へ抜ける農道のそばに俗称 “七つ墓” と呼ばれる墓地があり、ススキやカヤ、草の低い雑木などにおおわれている。ここで昨年夏O少年ら “黒い芽” の不良グループが、桃色遊戯にふけって検挙された。古い墓地で、どの墓もここ数年、放ったらかされたままで、持ち主もお参りにこないようす。
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「おい、カモが来たぜーサブ公!おめえやってみな」
「腕だめしだ、ドジ踏んだら裸でツイストだぞ」
「スパークしたら、路地に逃げ込むんだ。そこで俺が待っているからナ」 — 昼下がりの住宅街、くわえタバコの黒い芽たちが4~5人、ブロック塀にもたれて、ゲームの打ち合わせだ。話し合いは向こうからくるBGのハンドバックをひったくること。どうやら新入りらしい少年が、グループ加盟の実技テストをされる破目になったらしい。そこでただちに行動開始。
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“ヤサグレ” といういん語がここでは、ある。
「オレ、とうとうヤサグレしてきちゃった」
「それに限らァ、家にいたってロクなことなんかありゃしない。だれもわかっちゃくれねェもンな」
「ネグラはどこにするかナ」
「どこだってあらァナ、××小学校にもぐり込んでもいいサ」
— とこんなぐあいに使う。つまり「家出」することがヤサグレ。どこからともなく仕入れてきた “黒い芽” たちの暗号である。本格的な非行がほとんどの場合この “ヤサグレ” から始まる。
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「オレたちから仲間割れしようたって、そうはさせねェ。ヘンな考え起こすと承知しねェぞ。のぼせあがって…」
「見せしめだ。みんなでのしちゃえ」
「だってアニキ…」
「構わねぇからやれ。少しぐれぇ痛い目にあわせにゃ目がさめねぇぜ」
そこで “ふくろだたき” の図が展開される。”指詰め” などと並んでやくざ映画につきもののリンチ(私刑)の典型的なケースである。
そのリンチ映画を地で行なったのが、さる2月5日の那覇市安謝での非行グループの集団暴行事件だ。
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“スキダァヨー、スキダァヨー
はァとが燃エルンダ…… “
— がなりたれるようなジュークボックス。”旭のツイスト” にのって投げつけるようなツイスト・ダンス。幾組もの男女 — といっても中学生か高校生ぐらいの “黒い芽” たちだが、文字通り “無我” の表情で足をはね上げ、腰をふり、手をバタつかせる。笑いと奇声がキンキン耳をつんざいて、すさまじい狂乱のムードである。
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“島ぐるみ” の「暴力追放」運動がはじまった。こんどの運動で、実施本部がとくに重点的に追い打ちをかけようというのが既成暴力団の根絶と併行して、小さいヤクザたちのしめ出し。「暴力つみとりは芽のうちに – をあいことばで、社会の裏側にはびこりつつある暴力の “黒い芽” に集中攻撃をかける構えだ。 – そこで、これら “黒い芽” の実態をさぐってみた。
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