前回までの記事で、那覇の女性商人たちからついに近代的経営者が誕生しなかった件を説明しました。ここからは琉球王国(あるいは琉球藩)の時代において女性が文字を読めず、学問の世界から遠ざけられたもう一つの弊害について記述します。それは廃藩置県までの琉球の女性たちが伝統主義の思考法から抜け出すことができなかった点です。
まず初めに伝統主義について説明します。伝統主義は「これまで続いてきた慣習は、その事実だけで絶対的に正しく、今後もこれまでの慣習通りに行動する」という思考法です。旧慣墨守と言い換えたほうが分かりやすいかもしれません。