史料

恐怖の白い粉(10) 続・中毒患者

妻や子どもは父から逃げる 「ヘロインのある環境に近づかないことだ」‐白い悪魔のアリ地獄から死ぬ思いの辛苦をなめて、ようやく立ち直った元バンドマンのAさん(二五)はきっぱりと言い切った。彼は昨年八月ごろ好奇心からヘロインをうち始めた。日々深みにはまり、禁断状態に陥ると全身が気だるく、寝返ることさえ苦痛を覚えるほどになった。

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【史料】小室直樹著‐日本の「一九八四年」

りうきう独立芸人に絡んだ記事を作成するにあたり、小室直樹著 – 日本の「一九八四年」(PHP研究所)を参照しましたが、昨今のマスコミ報道を省みるに、40年も前に小室博士が指摘したマスコミの問題点が現代もなお引き継がれていると痛感しました。

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恐怖の白い粉(9) 中毒患者 ㊤

80%は米軍人・軍属が占める 麻薬中毒者。そのいまわしい幻覚のいきつくところには「死」と「犯罪」がまちうけている。白い快楽のくすりは人間を廃人に追いこむ。廃人に至る過程には、ヘロインに財産を吸い取られ、麻薬代を工面するために殺人すらいとわない凶悪犯罪の影がつきまとっている。麻薬のとりこになってしまうとおしまいだ。

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恐怖の白い粉(8) 追跡捜査

警察税関の合同捜査カラ振り 「宜野湾市普天間のアパートでヘロインの取引がある」。CIDからの情報だ。県警麻薬特捜隊の隊長・山城常茂警部は、小渡良勇警部補の第一班の出勤を指示した。指令を受けた小渡班は取引の舞台となる民間アパートの張り込みを昼から開始した。

取引は九月二十五日午後八時。同日午後七時三十分、小渡班は普天間署に集結した。沖縄地区税関の取締官の緊張した顔もみえる。県警と税関の合同捜査はまれだ。「きょうの家宅捜索は期待できる」張り込みを続けている捜査員からいい情報が舞い込む。那覇地裁から夕方に出た家宅捜索令状も届いた。あとはタイミングをみはからって踏み込むだけだ。

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恐怖の白い粉(7) 甘い汁

一日三万六千円も麻薬代につぎ込む 「一日六千円(約十七㌦)この男はそれだけかかっているんだ、ひどいもんだ中毒っていうヤツは…」とある捜査員が言う。「この麻薬天国・沖縄にあてはめて考えてごらんなさい。少なくとも米兵など外国人三千五百人、沖縄の人らが千人。合わせて四千五百人の中毒患者がいるんですよ。たいていの患者は五千四百円から六千円は使う。なかには一万円、一万五千円というのもいる。ひどいのは一日三万六千円だ。一週間は七日ですよ。七日。とてつもないでっかい数字にふくれあがりますよ」

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黒い芽 – 暴力追放総決起運動 / (7) 施設

コザ市山里区の西。郊外の松林は雑木にかこまれた金網の建て物がある。ここが琉球少年院。”黒い芽” たちが裁判所を経て、最後に行きつく教育の場である。職員は、教官、事務員を合わせて50人。108人の男子と女子20人を収容する。

金網と官舎、狭い中庭と教室 。ここの設備は、いたって乏しく、定員の2.4倍を超越する収容児童たちは、文字どおりに身動きできない窮屈さと、うつ積するエネルギーのやり場のなさに “動物扱い” だと怒る。しかし少年たちの顔は明るい。それは “おかあさんが面会で笑顔をみせてくれた” から。そして “父が元気でやっているか” と、久しぶりにを抱いてくれたからだという。

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恐怖の白い粉(6) 原産地とルート

タイ国、専売制度を設け売りさばく いわゆる「発見の時代」にヨーロッパ人がやってくるまで、東南アジアの人々は、アヘンを知らずにいた。アヘンが公然と流れるようになったのは十九世紀。それは、十八世紀にイギリスの「東インド会社」が中国にアヘンを持ち込んできたのが最初だという。アジア人にアヘンは膨大なもうけになることを教えたのは今世紀になってからといわれる。一九二〇年ごろになると、タイ政府がアヘンから吸い上げた利益は、国庫収入の十五二〇%を占めたという。

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恐怖の白い粉(5) 運び屋

現役女性軍人が重要な役割 麻薬を運ぶ方法は、直接人間が持ち運ぶのと、物だけを送るという方法があるのは前回で述べた。もっぱら人間に運ばせていた沖縄マフィアの場合はどうだったか

運び屋ハリー・キャッシー(二六)は現役女性軍人である。彼女は沖縄マフィアの中でも重要な任務を背負っていた。県警では、春先に得たいくつかの有力な情報から運び屋の中心人物はキャッシーに間違いないとの確信を持った。それ以後八月十日に逮捕されるまで、まる五カ月間の追跡が昼夜を徹して行われたのである。張り込みにつぐ張り込みが根気強く続けられた。

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性的被害 社会運動でも

「#MeToo」運動をきっかけに、ジェンダー平等や性暴力撲滅への機運が高まる中、社会運動でのセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)をなくそうという声が高まっている。2018年、県内の社会運動を行なう団体のメンバーから性的嫌がらせをの被害にあった女性は「ほとんどの被害者が泣き寝入りを強いられている」と話し、運動の場で被害が表面化しづらい構造的な問題を指摘する。

女性は団体に問題提起し、謝罪文と再発防止ガイドライン策定につながった。女性の人権の問題から社会運動に携わる高里鈴代氏は「見過ごせない問題だ。被害者がちゃんと言える環境をつくっていかないといけない」と、時代に沿った防止策が団体に求められているとの認識を示した。

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恐怖の白い粉(4) 巧妙化する密輸手口

決して過去の手口を使わない 「麻薬を運び込む際、決して過去に使った手は二度と使わない。常に新手をあみ出している」と捜査員は真剣なまなざしをうかべて語る。麻薬Gメン、警察、税関の目が光り、取り締まりが強められていく中で、麻薬を運び込むのはかなりの危険が伴う。苦労して手に入れた麻薬。それを密輸入する寸前でみつかり、つかまってしまってはもとも子もない。犯罪者となるかどうかの接点で動き回っているのが運び屋である。それだけに密輸業者たちは、できる限りの知恵をふりしぼって、運ぶ方法を考える。

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恐怖の白い粉(3)手から手へ

張り込み捜査員の目前で取引 二年前のことだった。日がサンサンと照り輝くある夏の午後のコザ市センター通り。「麻薬取り引きが行われる」との情報をキャッチした捜査陣は、取引予定場所を包囲する形でかれこれ一時間、息を殺して張り込みを続けていた。ある者は向かいの店内から、ある者は観光客を装って三人連れで刻一刻、その時を待った。

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恐怖の白い粉(2)広がる組織

オレは白人のワナにひかかった ある昼さがりの取り調べ室四日前に麻薬密売の現行犯で逮捕された男一人、手錠のかかったまま取り調べを受けていた。黒人兵である。「イエス、おれは何も悪いことはしていない。本当なんだよ」と必死に弁解している。「ではそのわけを聞こう」と静かな刑事の声。「本当だ。おれは何も悪いことなんかしていない。白人のワナにはまったんだ。おれはただ膚の色が黒いために白人のワナにはまっちまったんだ」。黒人兵は憎しみに満ちた目で刑事に訴え続けた。調べている刑事はあ然とした。「白黒の対立は麻薬にまで及んでいるのか…」。悩める現代アメリカをかい間見る思いがしたという。

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恐怖の白い粉 (1)闇のシンジケート

沖縄にはいったいどれくらいの麻薬密輸組織があるのだろうか。次々と摘発される麻薬グループに県民はだれしもそう思っているにちがいない。麻薬関係で検察庁に送り込まれる違反者は一日平均一人の割合。ことしに入ってから県警で逮捕した数だけでもすでに八月現在三百五十人を数え、七二年度の二百九件を軽く上回った。

亡国のクスリはすでに金網を乗り越え民間地域へ。そして県民の各家庭へいつ忍びよるかわからないところまできた。県でもその現状を重視、この秋から麻薬撲滅運動を県民総ぐるみで展開するという。米軍基地をかかえる沖縄。この基地を中継して、はびこる麻薬をほんとに断ち切れるのか。

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コザの街エレジー(20) 最終話

基地の街には、今宵もまた、夕闇と共にネオンは輝き、ジャズが流れる……。

くわえ煙草で客を待つ女、道行く黒人に色眼を使う女、光をさけて街角で男の袖を引く女、ガム売りの女の子、物売りのオバサン達、その中をノッシ、ノッシと歩き回るパトロール、昨夜も、今宵も、そして又明暁も、基地という名の怪物のそれは生きのびんとするあがきだ。のたうつ怪物!

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コザの街エレジー(19) 狂死

父に病死され、60歳を超した老母と2つちがいの妹と3人で暮していた千代子(24)は、コザ市諸見のスーベニヤで働いていた。その千代子がいつも店に買い物に来る1アメリカ兵と友達になってやがて結婚したいと母に願った。アメリカ兵はローレンスという軍曹でまだ22歳のおとなしい青年だった。母親の生活も十分にみるというのである。

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