本日沖縄県立図書館で琉球新報の記事をチェックしていたところ、昭和39(1964)年7月21日付琉球新報朝刊1面に「原水協、分裂状態に」と題した沖縄原水協の分裂騒動についての記事が掲載されていました。ブログ主は原水協(原水爆禁止日本協議会)など日本の原水爆禁止運動については詳しい知識はありませんが、それでも記事内に気になる記述がありましたので当ブログにて紹介します。
沖縄原水協の分裂騒動に言及した同年7月22付琉球新報朝刊〈金口木舌〉の全文を書き写しました。読者のみなさん是非ご参照ください。
金口木舌
沖縄原水協は二十日の総会でついに分裂状態に陥ってしまった。六四年度運動方針をめぐり、広島、長崎、静岡の三県連絡会議を支持する執行部案に、人民党系が反対しての分裂騒ぎ▶しかしこれはこんどの総会で突然おきたものではなく、昨年の日本原水協分裂以来、その影響を受けてくすぶり続けていた内部対立が爆発したもので、むしろ落ちつくところへ落ちついたというところだ▶日本原水協の分裂は、共産党系の「共産陣営の原水爆は平和のためのものであるから反対すべきではない」との主張がきっかけとなり「いかなる国の原水爆にも反対する」という社会党、総評などの路線と相いれず別々に運動を行うようになった▶こちらでも人民党系が日共と同じ考えに立ち、これに反対する各団体といがいみあい、タモトを分つ状態におち込んだわけであるが、日共などの「共産陣営の原水爆には反対してならぬ」とする主張はどうも理解できない▶原水爆運動は、世界から原水爆を無くするのが目的である。にもかかわらず共産陣営のそれは認めよというのはどういうことだろう。「共産陣営の製造、実験は平和のため」との云い分は屁理屈にすぎぬ。第一、共産陣営が製造、実験をドカンドカンやれば、自由主義陣営も黙ってはいないだろうし、あげくの果て地球は死の灰につつまれてしまうことになろう▶両陣営がともに製造、実験の禁止にふみ切ってこそ、原水爆を無くすることはできるのであって、部分核停止条約が結ばれたのもそのためであり、実験は実際に停止されている。このような現実に背を向けて「共産陣営の原水爆は認めよ」というのは禁止運動に逆行するものとしか考えられぬ。ネライは”中共にも原水爆を持たせる”ということにでもあるのだろうか。
ちなみに同年7月21日付琉球新報朝刊1面の原水協分裂騒動の記事は下図参照ください。
おおざっぱにまとめると、昭和38(1963)年の原水協の内部対立が沖縄にもちこされた形ですが、注目は人民党関係団体が「いかなる国であろうと、原水爆を製造、実験に反対する」との主張に反対していたことです。つまり、
不屈の精神を以て原水爆の製造や実験に反対しなかった人がいたことになりますね……
ブログ主はこの記事を読んで上司の命令にには極めて忠実だったあの人らしいなと思った次第であります(終り)。