かつて政治学者の小室直樹博士は、「日本人は中国に対してコンプレックスがある」と喝破しました。よく考えると日本文化の元ネタは中国発が多いですし、実際に古代から近世にかけて中華帝国は世界の超大国でした。想像を絶する巨大な領域を統治してきた歴史に対して隣国である日本は常に何等かの影響を受ける立場であったことは否定できません。
言い換えると、つねに「大」であった中国に対して「小」を意識せざるを得ない日本人はある種の劣等感から免れることができなかったのです。この点は沖縄も同等で、大である隣国の呪縛から免れることができない地理的宿命を抱えています。しかも戦後は「戦勝国と敗戦国」の関係が追加され、中国に対しては”配慮すべき”という妙な空気が社会全体に蔓延してしまいます。
現代の中国脅威論は、上記の中国コンプレックスの裏返しであることと、戦後社会を覆っていた中国に対する不文律への反発がベースにあると見做しても間違いではありません。かつての「毛沢東万歳」も現代の「中国脅威論」も中国に対してはなぜか冷静に対処できない、論者は「冷静に判断しているつもり」の作文が実に多くて正直なところうんざりする状況です。
では現在の日中関係(あるいは我が沖縄と中国との関係)の本質は何かといえば、ズバリ「冷戦状態」であることと、中国に関しては大陸と台湾に分裂していて、台湾が西側についていること、しかも大陸の中国人は日本人や台湾人のことを「敗戦国民」として(本音では)見下していることです。つまり日中友好はあくまで現実に応じた姑息な手段(一時しのぎ)であって、本質はお互いに体制転覆を狙う敵国なのです。この点は常に意識しておかなければなりません。
ちなみに東アジアの冷戦が日米の勝利で終わる可能性が極めて高いです。近い将来中国共産党、朝鮮労働党、およびベトナムの共産党が崩壊あるいは変質して冷戦が終結した場合、日本そして我が沖縄県民は名実ともに「冷戦の戦勝国民」として東アジアに君臨することになります。問題はその日が近い(と予測されている)にも関わらず、誰も中国崩壊後に備えていない、これが現在の中国脅威論の致命的な弱点です。中国脅威論は中国の強さ(大であること)を信頼して論が構成されているため、本当に崩壊するなんて誰も想像していないのです。
実際に中国共産党が崩壊すると、予想されるのが「価値観の激変」です。とくに我が沖縄では冷戦時代の発想がすべて転換する極めて厳しい状況が到来します。ほぼ間違いなく現在社会を支配している「被差別感」や「敗戦国民意識」などの従来の価値観が一変します。沖縄戦以降は敗戦国民としての意識にどっぷり浸かってしまった我が沖縄県民が、いきなり「戦勝国民」として振る舞うことができるか、ブログ主は極めて厳しいと予想しています。
それゆえに今のうちで新時代の価値観を形成する必要があります。我が沖縄県民は日本人として、そして冷戦の戦勝国民として東アジアの平和と安定に寄与する存在が運命つけられいると言っても過言ではありません。現在のような「被差別感」は新時代においては不要ですし、ましてや戦勝国民として傲慢な立場で振る舞うのはもっといけない。その日が来るのを覚悟の上でいまから何らかの備えが必要、ブログ主はそう確信して今回の記事を終えます。