神試合を見学してきたよ(沖縄尚学vs中部商業)

本日(3月29日)沖縄セルラースタジアムで開催された、第65回沖縄県高等学校野球春季大会(3月21~4月3日)のベスト16の試合(沖縄尚学vs中部商業)の観戦レポートを掲載します。この試合を見学した理由は、両チームとも最低でもベスト4クラスの実力があること(沖縄尚学は秋の優勝校、中部商は新人戦準優勝、秋はベスト8)、この対戦結果が夏の県大会に大きな影響を及ぼす可能性があると判断したからです(つまり、負けたほうがノーシードになる)。早速ですが、野球好きの読者の皆さん是非ご参照下さい。

・試合開始前です。ベスト16での対戦は電光掲示板にスタメンを表記しないため、ブログ主が現地でチェックしました。なお身長/体重は旧データ(99回全国高校野球選手権沖縄大会公式パンフレット)を利用しているため、体重は増えているかもしれません。

・沖縄尚学(先攻)のスタメンです。

・中部商業(後攻)のスタメンです。

・(画質悪)試合開始前です。ブログ主もバックネット裏にスタンバイしての観戦です。

・中部商業の先発は山城郁也くん(右/右)。現地で彼の投球を見るのは2回目ですが、今日は変化球の制球に苦しんでいる印象でした。ただしストレートがキレッキレで、5回まで沖尚打線はフライアウトのうち損じが目立ちました。6イニング2/3で降板(2失点)しましたがナイスピッチングです。手元のメモによると2回表に最速137㌔をマークしています。

・5回裏終了です。ここまでは中部商業のペースで試合がすすみ、沖縄尚学は防戦一方の展開です。沖尚は先発の左腕エース知念大成くんが2回1/3イニングで降板、後を継いだ右腕の元くんがなんとかゲームを作り直します。

・後半戦は、沖縄尚学が7回に3点をとって同点に追いつきます。そして延長戦に突入、ベスト16レベルでは珍しい長時間のゲーム(この時点で2時間45分経過)で体力を削る展開になりました。沖尚は7回裏から左腕の奥浜君が登板、中部商業は7回途中から背番号1番をつけた中濱くんが投げています。

・試合終了です。3時間を超える熱戦を制したのは沖縄尚学、10回表に一挙3点を取って試合を決めました。

・スコアです。

【中部商業】

残念ながら負けてしまったものの、チームの実力は最低でも県内ベスト4クラスで、甲子園出場が十分狙える強いチームであることが再確認できました。特筆すべきは1番センターの知念侑輝くんで、今日はなんと5打数5安打(2塁打、3塁打含む)で本塁打が出たらサイクルヒットという神活躍を披露してくれました。彼はタイミングを崩されても打つことができる稀有の選手で、間違いなく全国レベルの選手と断言できます。その他の選手も攻守によく鍛えられいる印象がありました。

投手陣は右腕の3投手がそれぞれ持ち味を披露してくれました。先発の山城くんはストレートの切れが抜群で、2番手の中濱くんはパワーピッチャー、10回表に三番手で登板した右腕の宮里くんは本日の最速142㌔を計測するストレートが持ち味です。投手陣の層の厚さも県内ではトップクラスで十分全国でも通用するレベルと思われます。

本日の敗戦の理由は、継投が遅れたことです。先発の山城君は6回あたりからストレートの切れが落ち始めていました。夏の大会ならば7回頭から2番手の中濱くんを登板させるでしょうが、今回は山城君を引っ張ったことが裏目に出ました。変化球でカウントが稼げないためストレート中心の配球にならざるを得なかったのですが、さすがに沖縄尚学打線は見逃してくれませんでした。

それと、これは中部商業野球部の(不可解な)伝統ですが、ここ一番の絶妙なタイミングでやらかしてしまう癖が見事なまでに継承されているのです。7回の同点劇は2アウト3塁のピンチで登板した2番手の中濱くんが初球パスボールでランナー生還ですし、10回の逆転劇は、2アウト1,2塁で沖尚4番の知念くんが右中間に滞空時間の長いフライを打ち上げ、それをセンター知念くんが見失ったことによる加点(5-3)です。本日5安打の知念くんが最後の最後でやらかすあたりが実に中部商業らしい。実は上原忠さん(現沖水監督)が就任した2002年あたりからこの傾向が続いているのですよね。だからブログ主はこのチームは好きなんですけど(笑)。

【沖縄尚学】

本日の試合が苦戦した理由はただ一つ、「水谷くんを捕手で起用したから」に尽きます。ちなみに勝利した理由が、「切り札として捕手の池間くんがいたから」になります。水谷くんは右投げ左打ちの強打者で、肩も強く捕手としての資質は申し分ないのですが、現時点で配球が物足りない面が否めません。具体的には相手打者の狙い球がまだ正確に察知できていない。3回裏も5回裏の失点も明らかなリードミスです。捕手として公式戦での起用はまだまだかなと思われます。

投手陣はエース左腕の知念くんに、2番手大型右腕の元くん、3番手の左腕奥浜くんと秋の段階に比べると層が厚くなった印象です。とくに元くんの成長が大きい。別の試合でしたが、最速で141㌔をマークしていました。ちなみに彼は秋の段階では130㌔がやっとですから驚くべき成長です。スタミナに欠ける面はありましたが縦のカーブや三振の取れる落ちる球も持っていますので今後が楽しみな投手が出現したなと実感しました。

そしてこのチームの中心は間違いなく捕手の池間大智くんであることが確信できました。7回裏から3番手投手奥浜くんと共に登場したのですが、チームのディフェンスの雰囲気がガラっと変わったのが印象的でした。特に配球が完璧で、10回表には相手にとどめを刺すタイムリーヒットも打ちます。6回までは気持ちよくスウィングしていた中部商業のバッターが7回裏から”打たされる”ようになったのは現地で見て衝撃でした。池間くんと打撃に優れた水谷くんをどのように起用するかが、今後勝ち進む上での大きなポイントになるでしょう。

いかがでしょうか。すこし長めの記事になりましたが、春の県大会のベスト16で決勝レベルの対戦が観戦できたのは、野球好きのブログ主にとってはこの上ない幸せな出来事でした。高校野球を見続けて本当によかったなと思いつつ、今回の記事を終えます。