前回は当ブログにて現代の琉球独立論の前提が何かおかしいのでは?とのテーマで記事を作成しました。今回は人口から見た独立論の盲点について説明します。キッカケはブログ内の整理整頓を試みるつもりで過去履歴をチェックしていた際に、人口の増加が沖縄社会に及ぼした影響について配信した記事を読み返したことです。早速ですがその時に作成した人口表をご参照ください。
以前、日下公人著 『大人の国のための戦争学』 の第二章の部を当ブログでアップしましたが、その趣旨は“人口過剰が起こると戦争が起こる、特に若者比率の高い国が戦争を起こす”でした。我が沖縄では(対外)戦争は起きませんでしたが、若者人口比率が高いときに社会に大きな影響を与える事件が起こっていたことが確認できました。
今回は詳細な説明を省きますが、“人口過剰が起こると戦争が起こる”の仮説は“戦争が起こらないのは人口が減少傾向にあるときだ(あるいは若者人口が減少しているときだ)”と言い換えることもできます。ちなみに我が沖縄の平成27(2015)の総人口および(総人口に占める)若者人口の比率を見ると明らかに減少傾向で、この調子でいけば東京オリンピックの年(2020)は、若者人口の比率は10パーセントをきるのではと予測できます。
その代わりに増え続けているのが70代の老人たちです。平成22(2010)年ごろから65歳の以上の人口が15歳未満の人口を初めて超えて、その後増加する傾向にあります。若者人口が減少傾向で、高齢者人口が微増に転じた事実は重大です。すなわち社会が急速に保守化し、革命や内乱が起きる可能性が極めて低くなっていることを意味しているのです。
何時の世も社会に変化をもたらすのは若者世代です。廃藩置県後の沖縄社会の総人口における若者比率の多さがそのことを明示していて、新教育を受けた世代が沖縄社会の“ヤマト化”を急速に推し進める原動力になっていたのです。現代社会はその逆で、老人たちの比率が高い世代のため社会の価値観が急激には変化しにくい状態になっています。
そうなると社会体制の激変を意味する“独立”は高齢者からは本音では支持されない。若者人口の絶対数が足りないため力で社会をひっくりかえすことが不可能、人口論で見ると独立論は八方ふさがりの状態であることが分かります。ユースバルジの理論でアラブの春はうまく説明できるようですが、我が沖縄はシルバーバルジの状態ですので、現代の生活を破壊するような社会の激変は支持されない。具体的には年金や貯金をパーにする行為には絶対に賛同しない状況です。
琉球独立論では国際法や国連を利用して平和的に独立を志向していますが、実際のところ“平和的に独立を志向せざるを得ない”状況なのです。独立のための選択肢が極めて限られている上に、本当に独立を志向した場合は若者世代にもシルバー世代にも反感を買うこと間違いないため、現実には独立は不可能とみて差し支えありません。唯一の例外は若い外国人労働者を受け入れて彼等を尖兵として独立論を盛り上げることですが、そんなことすれば独立ではなく革命、しかも単なる売国行為になりかねません。独立論者がそこまでお馬鹿でないことを祈るのみです。(終わり)