琉球・沖縄の歴史の個人的な謎 男色の慣習がなかったこと その3

「沖縄の艶笑譚」という本があります。内容は「民謡昔エロトーク集」で庶民や士族の下ネタ中心に不倫や複数プレイ、果ては獣姦のエピソードまで記載されていて良い子の皆さんには読んで欲しくない本です。ただし何事にも例外があってこの本には男色のエピソードが一つも記載されていないのです。

オモロにも琉歌にも文学にも男色をテーマにした作品はありません。例外として組踊りの二童敵討にそれらしき記載があるのみでしょうか。この作品は親の敵を討つのがテーマで男と男の痴話のもつれから刃傷沙汰になった訳ではありません。衆道敵討ち*とは全く違います。

*江戸時代は敵討ちが公認されていた時代です(ただし煩雑な手続きが必要)。その敵討ちの理由でもっとも多かったのが男子間での痴話もつれの敵討ちでした。

文学にもない、民話にも記載がない、ブログ主が知っている限りでは間切内法にも記載がない。本当になかったとしか考えられません。その理由はおそらく

1.女卑の思想がなかったこと。

2.性産業に男性が直接関与していなかったこと。

と思われます。琉球も男性優位の社会で男女の役割は明確に区別されていました。典型的なのは女性が学問から遠ざけられていたことですが、ただし女性を卑しい存在として遠ざける思想は本当になかったのです。神女が地域共同体に於いて重要な存在であったことからも琉球社会において女性の存在は無視できないものがありました(続く)。

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