とある Facebook の投稿が絶賛大炎上した件

すでにネット上では大炎上していますが、3月10日の Facebook に物騒な内容の投稿がアップされ(後に削除)、本人が弁明の投稿(これも後に削除)された一件の記事を掲載します。投稿者は宮古島市議の石嶺香織さんで、先ずは下記全文をご参照ください。

【当初投稿された記事】

海兵隊からこのような訓練を受けた陸上自衛隊が宮古島に来たら、米軍が来なくても絶対に婦女暴行事件が起こる。(このような訓練は下記URL参照)

軍隊とはそういうもの。

沖縄本島で起こった数々の事件がそれを証明している。

宮古島に来る自衛隊は今までの自衛隊ではない。米軍の海兵隊から訓練を受けた自衛隊なのだ。

私は娘を危険な目に合わせたくない。

宮古島に暮らす女性たち、女の子たちも。

http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/news/170223-ironfist.html

 

この投稿から、アメリカ海兵隊から訓練を受けた自衛隊→今までの自衛隊とは違う→故に絶対に婦女暴行事件が起こると結論つけています。まるで米海兵隊が凶悪犯罪の元凶で、自衛隊が犯罪者の集団(米海兵隊)に弟子入りすることで……とお考えのようですが、では陸上自衛隊はアメリカ(カリフォルニア)でどのような訓練を受けたのでしょうか?下記に全文を掲載しますのでご参照ください(上記 Web サイトから全文抜粋)

ニュース(2月23日)

陸上自衛隊がカリフォルニアでの演習に参加。

【海兵隊キャンプ・ベンドルトン】

陸上自衛隊西部方面普通科連隊がカリフォルニアで行われている演習アイアン・フィストの一環で、実弾射撃訓練を行いました。

カリフォルニアにある海兵隊キャンプ・ベンドルトンで前哨狙撃兵コースのインストラクターをつとめるマーフィー軍曹は、射撃場の監督者としての任務の準備に取り掛かりました。

訓練が予定されていた時間に雨が降りだし、雨が止むのを待って、マーフィー軍曹は参加者らに基本的な技術を手短に説明しました。

マーフィー軍曹は海兵隊員らが狙撃ターゲットを準備すると、自衛官らに狙撃時の構え方を指導しました。

天候がやっと回復してくると、マーフィー軍曹は、「よし、仕事にとりかかるぞ」と呼びます。

自衛官らは140発の銃弾でいっぱいになったポーチを一人ひとり手渡されます、

そして狙撃できる姿勢を取り、ライフルに銃弾を装填します。

銃弾が次々に撃ち込まれる中、マーフィー軍曹は自衛官らの後ろを歩きながら、その日の指導した技術がきちんと実践されているかを確認します。

マーフィー軍曹はかつて部下だった海兵隊員に、「自分たちの訓練を思い出すだろう?」と呼びかけます。

マーフィー軍曹にとって前哨狙撃兵になることは容易なことではありませんでした。

彼は前哨狙撃兵になることは、公私において最もむつかしいことの一つだったと振り返ります。

次々と課せられる新たな難題のため、日々の準備を怠りませんでした。

マーフィー軍曹は、「前哨狙撃兵学校というのは、誰でも簡単にこなせるものではありません。3ヶ月の厳しい心の訓練で、事前の準備が必要となる訓練です」と説明しました。

そして、「体力的なものだけではありません。もちろん体力的に厳しい訓練ですが、むしろ精神的な側面が大きいのです」と続けて説明しました。

前哨狙撃兵学校は、海兵隊の中で最も過酷な訓練の一つです。

厳しい訓練に加え、300メートルから1キロの間で、定距離と不定距離での狙撃訓練を行います。

訓練にはM240狙撃ライフル、M110準自動ライフル、0.5インチ(12.7ミリ)砲を用いたM82スコープ式ライフルを使用します。

その他にも、追跡技術、地上ナビゲーション(方位磁針を用いて、地図上で座標を知る訓練)、カモフラージュ技術など、54日間、びっしりと過酷な訓練が続きます。

マーフィー軍曹は、「正直な話、簡単な訓練など何一つありません。大げさに言っているわけではありませんよ。毎日が予想もしなかった新たな困難に直面するのですから」と話しています。

前哨狙撃兵は、多くの局面で所属する部隊を支援します。

マーフィー軍曹は。「アフガニスタンに派遣されていた時、私は、大隊全体の目であり、耳のような存在でした」と当時を振り返ります。

指揮官から命令を受けた狙撃兵は、周辺環境の事情収集を行い、現場に派遣されるどの部隊より前に、難所が脅威をいち早く確認し、報告します。

この訓練場で自衛官らは、海兵隊から得られる最高の技術を学ぶことができるのです。

マーフィー軍曹は訓練が終盤に近づくと、自衛官らに装備を片付けるよう指示します。

自衛官らは泥っぽい地面から最後の薬きょうを拾った後、射撃目標シートを確認し、どれほど正確に標的を射抜いたかを確認します。

そばに立つマーフィー軍曹は、彼らの射撃の成果がこれまでにないほどの最高の結果であることをすでに知っています。(終わり)

 

この記事では前哨狙撃兵という聞きなれない単語が登場し、陸上自衛隊はカリフォルニアで前哨狙撃兵の厳しい訓練を受けたという内容です。ちなみに前哨狙撃兵は Wikipedia より抜粋した文章をご参照ください。

*前哨狙撃兵(スカウトスナイパー)アメリカ海兵隊の兵科の一つで、狙撃任務以外に、偵察・斥候・観測なども目的とした狙撃兵のことである、(中略)通常の狙撃兵との違いは、一般的な狙撃兵が遠距離の目標を狙撃するのが主任務なのに対して、前哨狙撃兵は狙撃のみならず、隠密行動で目標に接近、観測や偵察を行う点にある。そのため、高い隠密行動能力が要求される。また前哨狙撃兵は砲兵の着弾観測員の役割も果たす必要性もあり、砲術についても高い知識を必要とする。(Wikipedia より)

 

その後石嶺市議は、当初の投稿を削除し、弁明の投稿を掲載しました。この投稿も後に削除されましたが、全文を掲載しますのでご参照ください。

【当初投稿に対する弁明】

3月9日の夕方の投稿について。

私の言葉足らずな表現から、私の意図するところとは違う様々な誤解を生んでしまいました。申し訳ありません。

私の伝えたかったことを説明させていただきます。

まず、最初に申し上げたいのは、私は自衛隊全体を批判しているわけでも、自衛隊員個人を批判しているわけでもありません。自衛隊員がみんな婦女暴行事件を起こす、と思っているわけでもありません。

実際宮古島の野原に航空自衛隊の駐屯地がありますが、自衛隊員が婦女暴行事件を起こしたと聞いたことは、私の知る限りではありません。

私が批判しているのは、自衛隊員個々の人格に対してではなく、戦争のための軍隊という仕組みに対してです。

私はこの投稿の中で、「海兵隊からこのような訓練を受けた陸上自衛隊」「米軍の海兵隊から訓練を受けた自衛隊」という表現を使いました。

私は現在の自衛隊という組織が米軍と一体化して、専守防衛の枠を外れつつあることに強い危機感を持っています。

海兵隊は人を殺すことに対して感情を殺すよう訓練されています。

「One shot one kill」の号令で訓練されています、それが戦場で役に立つ兵士だからです。殺してもなんとも思わないようになっていれば、婦女暴行をしても何も思わないでしょう。それが、沖縄で米軍の婦女暴行事件が絶えない理由だと思います。そしてそれは特別な人間だからではありません。誰でも、訓練を受ければそのようになる可能性があります。

今後宮古島に配備されようとしている陸上自衛隊は、現在海兵隊から訓練を受けています。今後陸上自衛隊は、海兵隊と同質のものになる可能性があります。

宮古島からも自衛隊員として巣立っていく子供たちがいるのにというご意見がありました。私はその子供たちを批判する気持ちは全くありません。様々な理由、事情でその選択をしたのだと思いますが、子どもたちがそのような訓練を受けることにならないかを心配しています。

そして、娘を持つ母親として、米軍による事件事故が耐えない現状を見たとき、海兵隊に訓練を受けた陸上自衛隊が宮古島に入ってくることに不安をぬぐえません。宮古島の女性たち、女の子たちが安心して暮らせるのかという不安があります。

しかしそれは不安であって、絶対に婦女暴行事件が起こるとは言えません。「絶対」という表現を使ったことは不適切でした。訂正いたします。

そしてまた、沖縄の現状を見たときに。「絶対に大丈夫」ともい得ない現実があると思います。

これが私の投稿でお伝えしたかったことです。

この内容でも納得のいかない方もいらっしゃるでしょうし、考え方は様々です。議員も考え方は様々です、これが正しいというわけではありません。

現在議会中で一般質問の作成に取り組んでおり、たくさんのコメントに対応できません。この件に関する私の考えは全て書きましたので、これをお返事とさせていただきます。

 

この文章から「誤解を招く表現を使用して申し訳ありません」との意図が伺われます。つまりご自身の思想・信条の誤解ではなく表現に対して謝罪していることが分かります。では石嶺市議が何を誤解しているかと言うと、近代の軍隊の本質は官僚組織であり、平時は教育機関であることを理解していないことです。そして軍隊はすべて「自国防衛」を目的として存在し、すべての戦争が「自衛」を建前に行われていることも分かっていません。

つまり軍隊の本質を勘違いしているために、上記のような投稿をアップしてしまったのですが、軍隊が官僚組織かつ平時で教育機関であれば、所属軍人らによる婦女暴行などの凶悪犯罪を抑制することは可能です。実際に我が沖縄県における軍人・軍属による犯罪件数、および全刑法犯における比率は昭和47年(1972)の復帰当初に比べると激減しているのです。沖縄県庁が公開している資料を貼り付けしますのでご参考ください。

20170311-01

20170311-02

上記資料によると、昭和47年(1972)から平成25年(2013)の41年間で、全刑法犯における米軍構成員(軍人、軍属)が引き起こした事件の件数、比率が激減していることが分かります。彼女がこのデータを知っていれば「それが沖縄で婦女暴行が絶えない理由だと思います」などの発言はできません。むしろ在沖米軍の犯罪に対する取り組みが極めて有効かつ効果的であることを認めざるを得ないはずです。

今回の一件は、ハッキリ言って「市議不適格」の烙印を自分で押してしまったようなもので、任期満了(今年の11月12日)まで市議を務めることは極めて厳しいのではないでしょうか。これ以上騒ぎを大きくする前に、自ら決着をつけなければなりません。それが政治家の使命ですが、彼女がその点を理解してるのか、今後の成り行きを注視する必要があります。

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