
既にご存じの読者も多いかと思われますが、今月15日付沖縄タイムス25面に「批判者の個人情報提供 / 県議会事務局、議員に」と題し、新垣淑豊県議(沖縄自民党・無所属)を批判する “市民” の意見文を、県議会事務局が名前やメールアドレスを伏せないまま新垣氏に提供していた旨の記事が掲載されていました。
事の経緯は今月11日12時43分、とある市民がX(旧ツイッター)へ
支持者以外の県民に対し、不快な言葉で嫌がらせの投稿を続ける県議員について、県議会事務局へ問い合わせメールを送りました。X上でのやりとりは無意味ですので、同じく頭にきている人は、沖縄県議会ホームページの下にある「事務局への問い合わせ」からどうぞ。無視できないほど声を上げましょう
と投稿し、12日までに5通の意見文が県議会事務局に送られたことがキッカケです。ちなみに同日12時39分に(とある市民と思われる人物から)事務局に送られた意見文の全文は新垣議員がX上で公開していますので(2025年2月13日)、試しに全文を書き写しました。
〈お問い合わせ内容〉新垣よしとよ議員のSNS使用方法について。
新垣よしとよ議員は、かなりの頻度でXへのポストをしているのが見られますが、その内容は議員活動の報告などではなく、ほとんどが県民に対する嫌がらせのような内容となっています。不快な言葉を使い、県民の煽り、馬鹿にしたやりとりを見ると、県議員としての倫理観は一体どうなっているんだろうかと疑念を持たざるをえません。
自分の支持者でない県民は、ゴミのようにでも思っているような内容です。
個人のアカウントではなく、県議員としてのアカウントから発信される内容として、あまりにも不適切なのですが、県議会のコンプライアンスはどうなっているのでしょうか。チェック体制もないのでしょうか。厳しく指導していただきたいです。
その行為に対する新垣議員のコメントは以下ご参照ください。
これ、なんでかと言うと、今のところ5件なんですが、事務局が持ってきてくれたんですよね。
様々な主張をする人がいますが、議員はその代弁をするのが仕事なのです。もちろん我々はいろんなお話を受けますが、それを混ぜ合せたり、取捨選択して考えたことを、自らの考えとして、提案し、発信して、動いて、共感を得て、票をいただくのです。
もちろん、その考え方にも好き嫌いがあって然るべきなので、私を当選させたい人もいれば、落選させたい人もいることも当然です。
が、しかし、このような苦情メールを議会事務局に送ったとしても、確たるものがなければ意味がないんですね。議会事務局ではなく、議会(議員)が私の発言を問題視して、議事にかけないと、議会内でも何か罰則などありません。
このような行動は単に職員の手間を増やすだけ、ある意味の “カスハラ” だと私は思っております。なので、名前メアドなどは伏せた上で、皆様にお知らせいただき、おやめいただければと思います。
今回は両者の主張の是非は置いといて、この案件を報じた沖縄2紙、特に署名記事で報じた沖縄タイムスの編集方針に興味をいただいたのでとりいそぎ所感をまとめてみました。
まず気になったのは、「県議会事務局が寄せられたメールをどう取り扱うかについてルールがない(18日付琉球新報)」との一文で、やはりガイドラインは定めたほうがいいと痛感しました。「県議がXに投稿することは想定していなかった(15日付沖縄タイムス)」から県議会事務局にとっても今回の案件は “想定外” のため、今後のトラブルを防ぐ上でも早急に対応すべきでしょう。
次に、記事によると県議会事務局が県議に個人情報(名前・メールアドレス)を提供した件を問題視していますが、とある市民が県議会事務局にメールを送ろうと呼びかけたことと、新垣県議の反論および意見文がSNSで公開された件については注意深く判断を避けている件です。「読者に判断を委ねる」との体裁ですが、題字の付け方から察するに、(経緯を理解しつつも編集局は)新垣県議のやり方は「行き過ぎだ」と考えているかもしれません。
最後に、この案件の初報(2月15日付沖縄タイムス)は、よく読むとバランスの取れた記事内容となっており、担当は大野亨恭記者です。そして次報(同月18日付沖縄タイムス)はとある市民の現状(恐怖と怒りで大きな精神的ダメージを負っている)を詳しく報じており、担当は阿部岳編集委員です。
沖縄タイムス社は記者の特性をちゃんと把握して仕事を任せているんだな
と謎の納得感を覚えたブログ主であります。