今月24日付沖縄タイムス1面によると、「台湾有事」を念頭にした軍備増強に反対する初めての大規模集会「全国連帯!沖縄から発信しよう!11.23県民平和大集会」(主催・沖縄を再び戦場にさせない県民の会)が(同月)23日、那覇市の奥武山公園陸上競技場で開かれ、約1万人(主催者発表)が参加したとのことです。
ご存じの読者も多いかと思われますが、我が沖縄における県民大会の参加者は万単位の主催者発表がデフォルトです。なお、どのような方法で参加者をカウントしているかは非公開であり、県内二紙も主催者発表に対してファクトチェックを行わないのが通例なので、“真実の参加人数” は誰にも分らない仕組みになっています。
ただし、昭和から平成にかけての県民大会では万単位の人員が参加していた可能性が極めて高く、ブログ主所持の検証史料を公開します。読者のみなさん、是非ご参照ください。
最初に紹介するのは「沖縄大百科事典(ケ~ト)」に掲載されていた、昭和44年(1969)11月13日の統一ストの写真です。関連記事(364㌻)全文も書き写しましたので、是非ご参照ください。
11・13統一スト じゅういち・いちさんとういつ
1969年(昭和44)11月13日、復帰協主催で行われた統一スト。沖縄返還交渉におもむく佐藤首相訪米の意図を〈核つき、基地の自由使用をたくらむ〉ものとし、反戦復帰の意思表示を目的とした。官公労をはじめ16労組約2万5000人が24時間スト、33単組約6000人が時限スト、15単組約2万6000人が年休行使、それに復帰協加盟の沖青協・婦連・全沖農・革新3政党など40団体約4万人が参加した。全琉の小中高校420校余が休校、琉大・沖大・国際大もバリケードスト、東陽バスを除く全路線バスも始発から2時間のストを決行、琉球電信電話公社など官公庁の窓口は機能マヒした。午後からは那覇市与儀で〈県民総決起大会〉が開催され、大会後、国際通り、沖縄タイムス社を通って、那覇軍港を包囲するデモが展開された。軍港ではデモ隊と警察隊が衝突、86人の負傷者をだした。総決起大会は宮古・八重山でも行われた。〈玉城真幸〉
参考までに「屋良朝苗回顧録(朝日新聞社)」の131㌻によると、同ストは主催者発表で約六万人とあります。引用写真の場所はおそらく与儀公園かと思われますが、あの場所に6万人はさすがに盛りすぎかと。ただし「立錐の余地なし」の表現がぴったりな状況は読み取れるため、同デモには万単位の参加者が集まったのは間違いありません。
次は平成7年(1995)10月22日付沖縄タイムス朝刊22面より、前日(23日)に行われた県民総決起大会の記事を紹介します。
許せない 50年の重圧 認めない 未来の負担 / 県民総決起大会に8万5000人
少女暴行事件を糾弾し、地位協定の見直しを要求する県民総決起大会の会場を埋め尽くす人の波。ふだんは子供たちの歓声でにぎわうこの公園も、約8万5千人の怒りの渦に満ちた。「沖縄から米軍基地を撤去せよ」「地位協定を見直せ」。力強いこぶしが青空に向かう。戦後50年、基地の “支配” を受け続けてきた県民の熱い思いがそれぞれの立場を超え、固いきずなで結ばれた=宜野湾海浜公園
ちなみに、同日の記事に警察調べとして参加者5万8千人とあり、主催者発表と警察調べの参加者数に乖離があります。ただし、当時の新聞史料から「立錐の余地なし」の状況が明白に読み取れるため、万単位の参加者人数であったことは確実です。
そして、今月23日の県民大集会の様子は、QAB「CATCHY」に上空写真が掲載されていましたのでご参照ください。
同サイトによると、「政府が進める南西地域への自衛隊配備増強、いわゆる「南西シフト」など有事を想定した沖縄を取り巻く状況の変化を受け、「沖縄を再び戦場にさせてはいけない」という思いを全国に訴えるため市民団体が開催していて、会場には県内外から主催者発表で7500人が参加しました。」とあり、当初は7500人発表も、後に1万人に訂正したことが分かります。ただし、昭和や平成の “県民大会” に比べると、
立錐の余地がありまくりです。
なお、今回の県民大会は YouTube でもアーカイブ配信があります。ただしこの配信を視聴したブログ主は参加者が万を超えていないことを確信しました。
その理由は「音」なんです。
ブログ主は毎年夏の高校野球県予選の決勝を現地観戦してますので、万単位の観衆が出す「音量」を体験しています。ただし県民大集会の動画から聞こえる観衆からの「音量」は万単位ではなく、間違いなく数千人のレベルです。試しに玉城デニー知事の演説の際の観客からの拍手の音を聞くと理解できるかと思われます。
いかがでしょうか。手持ちの史料で主催者発表の “ファクトチェック” を試みましたが、今回の県民大集会に関して、ブログ主の検証だけでなくメディア側の公式報道からも、いかに主催者発表が「いいかげん」であるかが理解できたはずです。それはつまり、メディア側も「大人の都合」でファクトチェックは出来ないものの、主催者発表には「疑念」を抱いている傍証なのかと余計なことを思いつつ、今回の記事を終えます。