前回記事において、DHCシアターの見解をアップしました。その後は1月22日付けで、辛淑玉さんの見解(のりこえねっとの公式 Web サイトに掲載)が公表され、1月27日日付でBPO放送人権委員会宛に申立人辛淑玉名義で申立書が提出されました。今回は、申立書内の添付資料の分を掲載します。(ブログ主個人の感想はあえて記載せず、申立書の文章のみ掲載)
今回の騒動は、ハッキリ言って「どっちの動機が不純であるか」を言い争っているため、辛淑玉さんが第三者機関であるBPO放送人権委員会に申立を行ったのは賢明な判断と思います。両者の言い分があまりかみ合っていないため、このままの状態では不毛な争いが続いてしまい、両者にとって不利益な事態を招いてしまう恐れがあるからです。
ブログ主は、1月22日付け公表分の辛淑玉さんの主張には賛同しない立場です。一番気になるのはご本人の声明で「デマを流し、政権の尖兵として憎悪扇動を行うこの番組を、決して許してはならない」と断言していることです。彼女にはDHCシアターが最初から政権側の意向を汲んで番組を作成したのか、それとも番組が結果として、政権側に有利な報道になったかの区別が全くできていません。辛さんはどうやら前者と判断しているようですが、ブログ主は後者と考えます。だから個人的には「辛淑玉さんは面倒くさい人かもしれない」と考えましたが、自分たちの活動に対して地上波で「不純呼ばわり(あるいはそれ以上の危険な存在)」と報道されたことに対する怒りは理解できます。
辛淑玉さんが提出した申立書に対して、BPO人権委員会がどのような判断を下すか注目ですが、ブログ主としては双方がこれ以上不毛な言い争いで無駄なエネルギーを消費しないよう願うばかりです。(終わり)
添付資料「DHCシアターによる2017年1月20日付「ニュース女子番組見解について」」に対し、次のとおり虚偽及び問題点を指摘しておく。
1)のりこえねっとのチラシに記載された5万円と茶封筒の2万円について
「当該VTRではのりこえねっとのチラシを元に5万円の交通費が支払われていると紹介しましたが、これはその是非を問うものではなく、事実のみを紹介したものです。」
「当該VTR」では、のりこえねっとのチラシを元に5万円の日当が支払われており、そては「従北派」である申立人(辛淑玉)が手引きをするものであり、資金源については(「のりこえねっとのチラシにカンパ呼びかけを明記しているにもかかわらず」)「そこが分からないんですよ。」などと、あたかも北朝鮮等の背景があるかのように放送したものである。「事実のみを紹介した」ものではない。
「日当2万円の根拠についても、貰ったと証言されている方がおり、その茶封筒は反対派で占拠されている状態の基地ゲート前で拾われ、証言と茶封筒の金額が一致しているところからも合理的な疑いを持たざるをえません。」
高江の反対運動参加者で、「日当2万円を貰った」と証言している者は番組中に登場しない。そのような証言者が不存在であるため、そもそも「証言と茶封筒の金額が一致している」情況も存在せず、到底「合理的な疑い」にはあたらない。
なお、常識的に考えればただちに一切現実味がないと思われる「日当2万円」デマが流布された経緯に関する考察として、添付資料[ITmedia ニュース記事]を参照されたい。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1701/17/news056.htm
2)二見杉田トンネルの向こう側の取材を断念した件について
制作サイドにおいて事実関係に頓着しないことを端的に示すものである。加えて言うなら、ホームページ上でも「裏取りができない」証言の数々を掲載し、虚偽の上塗りをしている。
3)基地反対派の取材をしないのは不公平との批判について
「そもそも法治国家である日本において、暴力行為や器物破損、不法侵入、不法占拠、警察官の顔写真を晒して恫喝など数々の犯罪や不法行為を行っている集団を内包し、容認している基地反対派の言い分を聞く必要はないと考えます。」
沖縄県における国政選挙で選出されたすべての議員は「基地反対派」であり、沖縄全域はもちろん辺野古や高江の地元住民の中でも「基地反対派」は多数派である。言うまでもないことであるが、「基地反対派」が犯罪や不法行為を「容認している」などという事実はない。
加えて、「基地反対派の言い分を聞く必要はない」との明言は、放送法4条等に定められた放送事業者の責務に正面から違反することを宣言するものである。
4)「のりこえねっと」の抗議声明について
「外国人の政治活動については、昭和53年、マクリーン事件の最高裁判決で、「外国人の政治活動の自由はわが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等を除き保証される。」と示されたように、外国人の政治活動の自由は全てが保障されているわけではなく例外があります。」
インターネット上でよく流布されている虚偽情報であるが、昭和53年10月31日の所謂「マクリーン判決」に上記のような文言はない。同判決は、法律家間では「外国人が政治活動へ参加することを理由に法務大臣が在留期間更新を拒否したとしても違憲ではない」という趣旨の、法務大臣の裁量に関して判断した判決と解されており、外国人の政治活動に対して違憲判断をした判決ではない。