本日付(29日)沖縄タイムス1面・28面、および琉球新報DIGITAL版に、「県差別のない人権尊重づくり条例」(以下ヘイトスピーチ条例)の骨子案が判明した件に関する記事が掲載されてました。この案件における両紙の扱いの違いに興味を覚えたブログ主は、試しに記事をまとめてみました。
ヘイトスピーチ条例の骨子案概要は琉球新報の記事によると、
・罰則はなし
・公共の場での差別的言動は概要と氏名公表。インターネット上の差別的言動は削除要請(対象は日本に住む外国人や子孫など)
・被害者からの相談体制の整備
・本人の意に反する性的指向や性自認公表などの防止
となり、沖縄県在住の外国人や子孫に対する “保護” に重点が置かれていることがわかります。
その理由は至って簡単で、誤解を恐れずにハッキリ言うと、「治安維持」のためのやむを得ない措置なのです。具体的には県内在住の外国籍の人たちに対する差別的言動の度が過ぎると、彼らが反社会的な勢力を作ってしまうからです。昭和末期ごろに中国人残留孤児たちで結成されたとされる “怒羅権(ドラゴン)” が典型的ですが、沖縄社会でもかつて奄美出身者が自衛のために “反社会的勢力” を結成した歴史があります。
※大東亜戦争後に、鹿児島県から切り離された奄美群島は、職を得るために沖縄本島へ移住するケースが多々あった。移住者の数は推定で4万人。ただし、戦後の混乱もあって、本島在住者による彼らに対する差別的言動が著しかったので、彼ら移住者は那覇を中心に “結社” せざるを得なくなった。そうしないと身の安全が保証できなかったことと、昭和28年(1953)の奄美群島の本土復帰までその状態が続いたのである。
なので、ブログ主は在沖外国人に対する差別的言動に対して、県として取り組む姿勢には納得できます。
なお、今回の条例に罰則が設けられない点については、琉球新報の記事によると、
同条例を巡っては市民団体から罰則設定が求められていたが、同課は「現時点では憲法で保障されている表現の自由との線引きが難しい」として、踏み込まなかった。
とあり、これ以上ない回答が明記されています。(なお、沖縄タイムスの記事にはこの点の言及はなし)
参考までに、公序良俗に反する名目で “属性” を理由に人権を制限することは可能です。ご存じの通り、平成23年7月に施行された「沖縄県暴力団廃除例」など、各市町村の暴力団に対する条例がそれで、構成員たちは法に定める「指定暴力団」に属するというそれだけの理由で人権が抑制されています。つまり、公権力がその気になれば、人権を抑制することは可能であるが、ただしその範囲を拡大しないという暗黙の了解で世の中は動いているわけです。
今回のヘイトスピーチ条例の骨子案も、その流れで間違いありません。そして、
罰則を設けるほど、県内外でヘイトスピーチが蔓延しているわけでなはい
と県当局が判断していることが伺えます。
ヘイトスピーチ条例の問題は「沖縄は差別されている」との命題を前提に法が運用される可能性がある点に尽きます。これはブログ主の推測ですが、県もそのあたりの “事情” を理解した上で、県民の定義を厳密に定めることを避けているのです。つまり、差別されている “沖縄” に対して “特権を付与” する法運用を避けるべく、慎重に法案が作成される可能性が高いのです。
そうなると、「沖縄は差別されている」の命題を前提に物事を考える輩にとっては、著しく不満に思われるかもしれませんが、現代を生きるブログ主から見ると、命題を絶対視し、それに沿う事実のみを列挙して沖縄差別を訴え、あまつさえ法規制を訴える輩は、本音では「沖縄は(永遠の)被差別者であり続けなければならない」と思い込んでるのではと疑わざるを得ません。
これこそが現代の沖縄県民に対する “真の差別感情” である
とブログ主は断言して今回の記事を終えます。