今回の “県都の決戦 あいろむが斬る” の3部作を作成するにあたり、ブログ主は9月11日投開票の沖縄県知事選を含む関連記事をチェックし、重要と思われる記事については都度書き写しながら記事をまとめてきました。
いわゆる “公開史料のみを利用して真実に近づく” 手法を採用した訳ですが、都合がいいことに、我が沖縄の場合は新聞社が2社あって、両紙を比較対象することで “隠された本音” に迫ることが可能なのです。今回の那覇市長選も例にもれず、共通点と相違点を比べることで、新聞社の大人の事情を窺うことができました。読者の皆さん、是非ご参照ください。
まず、共通点から紹介しますが、実は今回のように保守勢力が大勝した案件は記事作成が難しいのです。その理由は高齢者や革新勢力の支持が強い両紙の購読者の逆鱗に触れないよう、しかも “公平性” を維持した記事を作成する必要があるからです。そのため、沖縄タイムスと琉球新報の取材班には例外なく “エース級” が配置されます。
ただし、本音の部分はどうしても表れてしまいます。試しに那覇市長選後の読者の投稿欄をチェックしましたが、選挙から数日を経ても “読者の声” として那覇市長選の結果について言及した投稿が掲載されなかったのです(11月1日になってようやく沖縄タイムスには掲載されてました)。つまり沖縄2紙の “本音の部分” では選挙結果に不満を覚えているわけです。
参考までに、9月11日投開票の沖縄県知事選では、数日後に読者の声として投稿が掲載されてました。全文を書き写しましたので、ご参照ください。
わたしの主張 あなたの意見
知事の言葉に未来志向感じた 男性=49歳
台風一過の知事選挙。県民の命と暮らしを思う気持ちはどの候補者もあっただろう。しかし知事が誰になろうとも暮らしを脅かす基地の存在は変わらないのだから、その積年の問題に継続して取り組む意気込みを見せた玉城デニー氏が多くの人のハートをつかんだ結果だと思う。
一方、日本政府の松野博一官房長官は早速「辺野古移設が唯一の解決策」と発言されていたが、まるで解決したけりゃ辺野古を出せと恫喝しているようであり、少なくとも政府は普天間問題を解決するために他の道を考えることはしませんと宣言しているようなものである。政治家としての仕事を放棄しているに等しい。
だからこそデニー知事には粘り強く政府に働きかけ続けてほしいし、プラスもう一つの重要な当事者であるアメリカ政府や米軍とも継続的に声を交わしてほしい。「ワールドワイドに動きたい」という知事の言葉には未来志向で道を探る意志を感じた。(北中城村)
引用:令和04年09月17日付沖縄タイムス05面
次に、相違点について言及しますが、出口調査記事において、沖縄タイムスは “年代別支持割合” を掲載していません。その反面、琉球新報社が分かりやすい図解で年代別の支持割合を掲載しており、新報の方がデータを “公平” に扱っていることが伺えます。
ただし、残念なことに翁長雄治氏のセクハラ言動について、琉球新報は全く報道しませんでした。それどころか、琉球新報DIGITALに掲載された過去の関連記事をWEB上から落としています。この件について、いかなる事情があったか寡聞にして存じませんが、”権力の監視” を標ぼうするマスコミらしからぬやり方に、正直なところ残念な気持ちを抱かざるを得ません。
とはいえ、沖縄タイムス、琉球新報社ともに、沖縄県知事選から続く現地取材は大変だったかと思われますが、記者の皆さんには素晴らしい記事を提供してくれたことに対し、ブログ主はこの場を借りて敬意を表します。
最後に、もうひとつ共通点を挙げておきます。両紙とも那覇市長選と並行した形で “ひろゆき報道” に熱を入れています。特に沖縄タイムスは粘着と言ってもいいレベルでひろゆき氏を糾弾しておりますが、それはつまり両紙編集局がエース級以外の記者たちに活躍の場を設けたわけです。
社内の隠された “大人の事情” が窺えて極めて興味深い
とついうっかり気が付いてしまったブログ主であります。(終わり)