俺が調子に乗って沖縄の高校野球新チームを紹介するシリーズの最後は、2年ぶり10度目の優勝を果たした沖縄尚学を紹介します。秋季大会では圧倒的強さで勝ち進んだ沖縄尚学ですが、県勢ひさびさのセンバツ出場を勝ち取るか気になる読者もいらっしゃるかと思われます。
今年のチームは選抜出場なんてケチなことは言わず、9年ぶりの九州大会制覇と神宮出場を目指してほしい程の完成度を誇ります。それだけ戦力が充実している訳ですが、試しに秋季大会準決勝のスタメンを紹介します。
参考までに、青地の選手は夏の選手権のレギュラーで、しかも上位打線を担っていました。投手の東恩納君もセカンドの佐野キャプテンも公式戦出場経験があり、夏のチームがそのまま引き継がれた印象すら与える完成度の高さを誇ります。
令和04年(2022)10月14日付琉球新報16面に掲載された、チーム防御率とチーム成績も併せて紹介します。
これらのデータからも分かるとおり、現時点ではウェルネス沖縄とは強さのケタが違います。一試合あたりの平均得失点が9-1で、エースが安定し、控え投手もそれなりの成績を残し、打線好調で、守備が固いチームに勝てるわけありません。仮に決勝戦でウェルネスがエース上原君を登板させたとしても、沖尚の勝利は揺るがないだろうと確信できるほどレベルの違いがあります。
攻撃の中心は間違いなく知花慎之助君で、彼は仲程雄海君(興南)と共に今年を代表する選手で間違いありません。特筆すべきは打席における集中力の高さで、甘い球を絶対に見逃さないのです。ほかにも巨漢の仲田侑仁君や、川満渚生君、玉那覇世生くんなど魅力的な選手がおり、夏の打線に近いレベルの破壊力を備えてます。
それ以上の凄いのが守備力で、ここ数年の沖縄尚学は、東浜巨投手がいた2008年のチームの守備力を標準装備してます。おそらく守備力は全国屈指のレベルを誇り、秋の打力であの守備力を破るのは極めて困難かと思われます。
秋季大会で個人的に感心したのが、比嘉公也監督が準決勝と決勝の2試合で東恩納蒼君を連投させたことです。これは九州大会が短期決戦であることを見越しての起用で間違いなく、監督の本音がベスト4ではなく、それ以上を狙っていると確信できました。このあたりが決勝でエースの上原君を温存したウェルネス沖縄の五十嵐監督との経験値の違いになります。
エースの東恩納君に関して、ブログ主は夏と秋の公式戦での登板を観戦しましたが、秋季大会は決して好調とは言えないなかで、強打の興南とウェルネス相手にしっかり投げ切った点には驚きを禁じ得ませんでした。特に興南戦はストレートの制球が定まらないなか、変化球を軸に辛抱強く投げる姿が印象的で、「こんなピッチングもできるんだ」と感心した次第です。夏の公式戦での彼はひたすら捕手のミットに全力で投げるだけでしたから。
ここまで沖尚のいいところばかりを紹介しましたが、もちろん不安な部分もあります。実は今年のベスト4は総じて捕手が未知数という印象を受けてます。沖尚も例外ではなく、前チームは歴代屈指の完成度を誇る前盛魁来君が2年間正捕手を務めてましたので、今年の正捕手である大城君の力量がまだ見えてこないのです。前盛君との比較ではさすがに気の毒かとは思われますが、大城捕手の成長がチームの鍵の握るのではないかと思われます。
既存マスコミの九州大会評によると、優勝候補は神村学園と西日本短大付属、そして明豊がピックアップされてましたが、ブログ主は大いに不満ありで、今年は沖尚が断トツの優勝候補と確信してます。今年のチームは比較対象が9年前に神宮を制覇した2014年のチームであり、しかも秋の時点では当時よりも完成度が高いので、是非とも九州大会を制覇してほしいと思うブログ主であります(終わり)