琉球・沖縄の歴史を俯瞰すると、1879年(明治12)以前には異様なまでにおとなしかった住民が1945年(昭和20)以降では激しい住民運動を展開するまで戦闘的になっていることには驚かざるをえません。そして島ぐるみ闘争や祖国復帰運動を展開することで大きな成果を勝ち取ります。
敗戦国民の悲哀を嘗め尽くした当時の沖縄の人に大きな自信と誇りを与えますが、その反面「訴え続ければ何時かは願いが叶うなり」というエートス(行動様式とそれを支える思考)を植えつけることになってしまったのです。
平成生まれの若い世代にはその考えが理解できません。彼らを納得させるのは明確に表示された「データ」です。インターネットの普及および爆発的に増加する情報量がデータの提供を容易にしたことも平成世代がデータ重視の思考になった原因です。そうなると訴えが現実に達成できるか?できないか?の思考になるのが当然で、非現実性が明示された場合は途端に冷めてしまうのです。
20代から30代の世代は意外にもアメリカ軍の占領行政を経験した世代が何故基地問題に対して頑なに反対するかが実感できないのです。1945年から1972年のアメリカ軍による占領行政の歴史が伝わっていないことが最大の原因ですが、これは戦後世代の歴史の伝え方に問題があります。被差別意識が強すぎて当時の状況を冷静に説明できないのです。
平成生まれの若い世代に言いたいことは、アメリカ軍の占領行政の時代の歴史を見つめ直して欲しいことと、その上で現代の沖縄が抱える問題に対して賛否を述べて欲しいことです。必ずしも戦後世代に同調する必要はありませんが、自分たちのオジィやオバァたちの歴史を知らずして事実無根の虚言に振り回されないよう切に願います(終わり)。