現時点では大きな事故もなく、傍目で見る限り極めて順調に競技が行われている東京オリンピックに関連して、既存マスコミの建前と本音が伺える記事を複数見つけましたので、当ブログにて紹介します。
大雑把にまとめると、東京オリンピックに関するマスコミの建前は「今回の五輪は開催意義が問われている。ただし参加する選手に罪はない」で間違いありません。その一例として沖縄タイムス社政経部の大城大輔記者のコラム全文を書き写しました。読者のみなさん、是非ご参照ください。
記者の眼 / コロナ禍の東京五輪 / 選手の努力は揺るがない
開催都市が新型コロナウィルスの緊急事態宣言下という状況で始まった東京五輪は1週間が過ぎた。大半の会場が無観客。選手の中には陽性者も確認されている。祝祭感がない異例ずくめの祭典は、開催意義が問われ続けている。
開催が妥当だったかどうか、答えは分からないが、少なくとも、政府や大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢が、国民の不信を招いているということは間違いない。
国民が日常生活で自粛を強いられる中、大会前にはバッハ会長らを招いた大会組織委による歓迎会が開かれた。「安心安全」を唱える菅義偉首相や小池百合子都知事など約40人が出席した。
大会後、感染状況によっては、さらに厳しい目を向けられるだろう。
それでも、この大会に向けて選手が重ねてきた努力はたたえられるべきもの。五輪はアスリートの大きな目的であり、一握りしか立てない舞台。地元開催となれば、思いはことさら強いはず。
1年延期されたことで出場を断念し、引退する選手もいたという。コロナ禍を超え、本番にたどりついた選手の名誉は、開催意義が揺らごうとも、あせることはない。
県勢は過去最多の10人が出場。個人的に楽しみにしている選手がいる。カヌー・スプリントの當銘孝仁選手だ。
沖縄水産高で、日本代表候補に選ばれるなど頭角を現し始めていた、2009年に初めて取材した。自身の良さを「練習を休まないこと、手を抜かないこと」と評し、「将来は国内で収まりたくない」と貪欲な言葉が印象に残っている。翌年の新年号で色紙に記した言葉は「継続はあたり前」。高校や大学で日本一をつかみ、続けた努力で、いよいよ五輪の舞台に立とうとしている。
當銘選手の登場は6日。テレビの前で静かに声援を送りたい。(政経部)
上記コラムは主張が実に分かりやすくまとめられた内容であり、そして沖縄タイムス社の東京五輪に対するスタンスと看做しても間違いありません。だがしかし、同社内でも五輪開催に反対の意見が根強かったことをうかがわせるコラムが掲載されてましたので、全文を書き写しました。ご参照ください。
大弦小弦
私たちが生きる現実と並行してもう一つの世界「パラレルワールド」があるという。SFのような話を、国際オリンピック委員会(IOC)の広報部長が持ち出した。東京五輪は感染を広げていない、社会と隔絶されているから、という主張だ▶別の意味では、確かに。好きだったスポーツが異次元の話のようだ。世界最高峰の戦いがあると分かっていても、テレビをつける気持ちにならない▶スポーツを愛する作家、星野智幸さんはこう書いている。「五輪は、私たちのスポーツを信じる心を収奪し、自分たちの利益に変えてしまう」。選手の全力プレーは強行開催の正当化に使われる。「そして観客やファンと選手が分断される」▶東日本大震災の後、プロ野球やJリーグはシーズンを止めた。選手たちは募金箱を持ち、慈善試合を開いた。あの時、スポーツは確かに社会の一部だった▶今、勝負に挑んでいる五輪選手に他のことを考える余裕はないかもしれない。でも、観客も声援もない会場は記憶に残るだろう▶競技が終わったら、政治や利権で成り立つ五輪という舞台の危うさ、陰で起きていた感染爆発にも目を向けてほしい。選手も私たちも、同じ社会の一員だ。価値があるのは五輪ではなくスポーツであり、その価値を守るためにパラレルワールドから取り戻す必要がある。(阿部岳)
引用:令和03年08月02日付沖縄タイムス1面
政経部の大城記者のコラムと比較して、主張が分かりにくい部分はありますが、要は “開催意義が曖昧なままでの五輪開催は反対” と訴えていることは間違いありません。ならば開催意義が不明確な東京五輪に便乗した広告を掲載した件はどのように解釈したらよいのでしょうか。
つまり、建前(社会正義)と本音(営利)のバランスを取らないと新聞社は経営できないという(ごくありふれた)実例であり、そしてその点に県民が気が付いているにもかかわらず権力を批判しつづける記者たちはある意味気の毒な存在なのです。だから(傍目からみると)支離滅裂のSNSを発信して炎上騒ぎを起こしている(メンタルバランスを崩したとしか思えない)一部記者が実在するのです。そんな哀れな人種は批判するだけ時間の無駄なので、
思いっきり笑ってやりましょう
と読者に訴えて今回の記事を終えます。