りうきうの女たちの事件簿

今回は昭和37年から39年にかけての新聞史料で見つけた女性関係のじわじわくる記事を紹介します。以前 “突っ込まざるを得ない記事 / 女性版じわじわ伝説” と題した殿堂入りクラスの事件を紹介しましたが、残念ながら今回はちょっとレベル下がります。

だがしかし復帰前の沖縄社会の世相を伺うことができる良質の記事をピックアップしてますので、3面記事好きな読者のみなさん、是非ご参照ください。

最初は復帰前に多発していた詐欺事件に関する記事を紹介します。

前借詐欺の女逮捕

【石川】石川署は29日午後1時ごろ那覇署から前借詐欺で指名手配されていた本籍金武村金武〇〇〇無職奥間〇〇(30)を石川バスセンター前でうろついているのを逮捕、身柄を那覇署にひきわたした。

手配書によると奥間は今年4月ごろ那覇市与儀551『三笠旅館』=経営者外間政子さん=で『女中として働くから』と750㌦をだまし取り、そのまま行くえをくらましていたもの。(昭和37年7月30日付琉球新報7面)

当時の新聞を参照にすると、女性たちによる前借詐欺の記事が複数見受けられます。そして逃げた女を取り戻すために経営者がアシバーたちに依頼するケースが多々あったのです。佐木隆三著「偉大なる祖国アメリカ(1973年)」にも売春宿から逃げた少女を連れ戻す記述がありますが、連れ戻された女性たちがどうなるかは説明不要、上記の奥間某子さんは警察沙汰になっただけマシだったのかもしれません。

ちなみにブログ主的には

女中として働くから(これまた説明不要)

という文言がじわじわきます。

次はアメリカ世恒例の少年・少女の補導記事です。

酒飲む少女補導 / 那覇 / 5人でドンチャン騒ぎ

警本警ら課は、13日午後11時半ごろ、那覇市松尾、那覇高校グラウンド裏の草むらで、しょうちゅうを飲んで、どんちゃん騒ぎをしていた那覇市内、中校3年の少女5人を補導した。

この少女5人は、取り調べの警察官に「酔っぱらっている人を見たので、酒を飲んで見たかった」とうそぶいていたという。(昭和39年9月14日付琉球新報夕刊3面)

アメリカ世時代の昭和45年以前までは少年少女の深夜徘徊と飲酒騒ぎと桃色遊戯が主で、シンナーなどの薬物乱用は復帰後から目立つようになります。上記の事件もよくある話ですが、それはつまり

少年・少女たちに酒を売る輩が普通にいた

ことを意味し、当時の社会の無軌道ぶりが伺えます。

最後に事件ではありませんが、ブログ主の興味を引いた記事をアップします。

寄宮でハブ退治 / 長さ1㍍70の大物

9日午後10時30分ごろ、那覇市天久大宝タクシー運転手、翁長〇〇さん(21)は、那覇市寄宮、三原バプテスト教会前を運行中、道路に大ハブがいるのを見つけ車でひいて退治した。このハブは長さ1㍍70㌢もある大もので、翁長さんも道路の真ん中にのびているハブ公に、はじめは繩かなにかだろうと思っていたという。しかし近づいてみると季節はずれのハブ公がノソノソ動くのでびっくり、タクシーでひき殺したという。(昭和39年12月10日付琉球新報夕刊03面)

ハブを片手に写真に写っている女性の嫌そうな顔がじわじわくるのは気のせいでしょうか。(おわり)