アフターコロナの沖縄社会

今月7日の沖縄タイムス経済7面に気になるニュースが掲載されていましたので紹介します。”コロナで観光客625万人減ると・・・” の題字で新型コロナが県経済へ及ぼす影響の試算記事ですが、予想の斜め上をいく衝撃的な数値が公表されていました。

この試算を見ると、新型コロナウィルス騒動は100年に1度レベルの歴史的イベントなんだと痛感しますし、実際にブログ主が体験したアメリカ同時多発テロ事件(平成13年)、リーマンショックによる観光落ち込み(平成21年ごろ)をはるかに上回るレベルで観光産業が落ち込んでいます。少し話がそれましたが、それでは本題の記事全文を書き写しましたので是非ご参照ください。

コロナで観光客625万人減ると…

就業者3万2730人減 / 完全失業率 1.8 ポイント上昇 / NIAC試算

南西地域産業活性化センター(NIAC、大嶺満会長)は6日、新型コロナウィルスの感染拡大が県経済に及ぼす影響を試算した結果を公表した。

2020年の入域観光客数が前年比625万4千人減り、観光消費額が4710億円減少した場合、県全体の就業者数が3万2730人減少し、完全失業率は 1.8 ポイント上昇すると見込んだ。ただ、県民の外出自粛による個人消費の落ち込みなどは加味しておらず、実際の影響はより大きくなる可能性がある。

沖縄観光コンベンションビューローが7月30日に発表した推計値を前提に試算した。就業者数の減少のうち約1万28000人が失業と見る。消費の落ち込みを想定し、消費者物価は 0.8 ポイント低下を見込んだ。NIACの金城毅上席研究員は「失業や倒産が増えれば、経済回復の道のりは険しくなる」と懸念した。

NIACは2月に発表した県経済の2019年度実績見込みで、県内総生産(GDP)を4兆5680億円、実質経済成長率は 0.4 %程度としていた。

今回の試算では名目GDPが3267億円減少し、実質経済成長率は 6.3 ポイント減少するとした。観光客数の減少など限られた前提条件に基づく試算だが、成長率は統計のある日本復帰後で最大の落ち込みとなり、マイナス成長に転じると見通す。

税収(国税・地方税)も624億円の減少を見込む。金城氏は「自主財源が減れば経済対策の予算確保も厳しくなる。今は需要喚起より、所得補償に注力すべきではないか」との考え方を示した。

OCVBは入域観光客数が651万4千人減り、観光消費額は4920億円減少する推計も公表した。NIACはその場合、就業者数が3万4200人減り、完全失業率は 1.9 ポイント上昇すると試算している。(令和2年8月7日付沖縄タイムス経済7面

この試算値で一番の衝撃が “税収” の落ち込みです。県税は大雑把に言って毎年1300億円で、ほか地方交付税は2100億の税収総額はおおよそ3400億円前後です。これだけ税収が落ち込むと素人ながら「来年度の予算編成は大丈夫か」と思わざるを得ません。

観光収入の落ち込みも阿鼻叫喚のレベルで、観光産業に従事する勤労者には同情を禁じえません。しかもこれだけ経済が落ち込むと、彼らに融資している地方銀行の経営にも影響がでます。つまり100年に1度レベルの経済不況が現実味を帯びてきたわけで、例えるならば

経済分野における沖縄戦の惨劇

が現出しているわけです。

そうなるとアフターコロナの沖縄社会はどうなるか。誤解を恐れずにハッキリ言えば、

官民ともに沖縄社会における中国離れが加速する

こと間違いありません(ただし台湾除く)。正確には “中国大陸離れ” かもしれませんが、この件は何も沖縄だけではありません。世界各地で急速に中国離れが起こるのはもはや避けられないのです。

理由は簡単で、新型コロナウィルス禍で経済が各国平均で5パーセント前後落ち込むことが確定しているからです。おそらく1929年の世界大恐慌以来の経済の落ち込みで、そうなるともはや誰も中国政府(の上に君臨する中国共産党)を信用しません。一番の被害者は中国大陸にすむ中国人たちですが、もはやそんな区別がつかないレベルで憎悪を買ってしまった以上、世界各地で経済にかぎらずあらゆる分野での中国離れを止めることはできないのです。

我が沖縄における経済成長の戦略の一つである “アジアのダイナムズム論” はその前提条件として「アジア諸国は日本やアメリカと同じレベルで信用できる」があります。今回のコロナ禍でその前提が木っ端微塵に砕かれたわけであって、いまさら “中国詣で” をするバカなことはできません。ハッキリいって県民が許しません。ここまで経済をダメにされて、それでも中国共産党を信用して経済戦略を練ることはもはや考えられないのです。

アフターコロナにおける沖縄社会は当分アジアから一歩身を引いた形で経済の建て直しを進めることになるでしょう。これはしょうがないことであって、県政与党のオール沖縄側も了承すると思われます。参考までにアフターコロナで一番都合が悪いのが沖縄の歴史学会で、

中国大陸の政権はこれまで沖縄に迷惑を掛けたことはない

という前提で歴史認識を構成していたからです。今回のコロナ禍でこの前提を大幅に修正する必要が出てきましたが、その過程で歴史業界にどんな修羅場が現出するか、ブログ主は生暖かく見守るつもりであります。(終わり)