資料 2017年1月28日(土曜日)沖縄タイムスより その2

前回の記事において、MXTテレビ報道に対する辛淑玉さんの見解と、沖縄タイムスの1面記事の全文を掲載しました。(27面の記事は掲載していません)

ハッキリ言って辛さんの見解には、沖縄に対する現状認識などで納得できない部分があるため全面的に賛同はできませんが、ブログ主は彼女が怒る理由はよく分かります。それはニュース女子において彼女を中心とした「のりこえねっと」の活動に「不純な動機がある」ことを指摘され、そのことに対して憤りを感じているのです。

「ニュース女子」の報道は、おそらくブログ主が知る限り、地上波において始めて沖縄の平和活動に不純な動機があることを中心に編成されたドキュメンタリーです。地上波で報道されたことに時代の流れを感じるのですが、不純の中心(あるいは黒幕)と指摘された辛さんはたまったもんじゃありません。

沖縄タイムスがこのニュースを1月28日の朝刊1面で掲載したのも、「のりこえねっと」の活動に不純な動機はないと判断しているからです。そして1月20日に公表されたDHCシアターの見解を新聞紙上に公表しなかったのは、MXTVの編集方針は不純であると判断したからです。これは間違いありません。

DHCシアターの見解は後にブログ主が全文を掲載するとして、その前に1月5日の「のりこえねっと」の抗議声明を全文掲載します。

~1月2日放送TOKYO-MXTV「#ニュース女子」による「のりこえねっと」および共同代表・辛淑玉を誹謗中傷する虚偽報道に対する抗議声明~

TOKYO-MXTV(東京メトロポリタンテレビジョン株式会社)が1月2日に放送した「ニュース女子」は、沖縄高江のヘリパッド建設問題について、反対運動の参加者の多くに対して金銭による報酬が支払われているという虚偽報道を行い、さらに、「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉に対して人種差別にもとづく憎悪扇動表現も行いました。

私たちは、この事実を深刻に受け止め、TOKYO-MXTVに対して、強い憤りをもって抗議します。そして同番組によって傷つけられた人権と名誉の回復と補償を求めるため、必要なあらゆる手段を講じます。

高江におけるヘリパッド建設について、私たち「のりこえねっと」は、建設の背景に日本とアメリカによる沖縄差別が存在することを指摘し、反差別と人権擁護の視点から批判してきました。そして、現地で建設を強行する日本政府が重大な人権侵害を行っていることを、ネットを通じて広く内外に伝える活動を行ってきました。私たちは、私たちの活動が、日本の既存マスメディアが行っている報道とは異なる視点から情報を提供することで、この問題についての多様で多面的な認識を醸成し、健全な民主主義を構築することに寄与してきたと自負しています。

しかし、そのような私たちの活動に対し、TOKYO-MXTVが1月2日に放送した「ニュース女子」は、「反対派は何らかの組織に雇われている」「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」としたうえ、私たちが人々からの寄付で現地に市民特派員を派遣したことを「5万円日当を出す」などと反対派が金銭目的で運動に参加している証拠であるかのように歪曲して報道しました。さらに、「のりこえねっと」共同代表の一人である在日三世の辛淑玉に対し、「韓国人がなぜ反対運動に参加するのか」などと、人種差別にもとづくヘイト発言を行いました。

言うまでもなく、高江で起こっている事実を取材し、その情報を提供することは、ヘリパッド建設に対する賛否とは別の問題であり、そのことを根拠に反対派が、「金欲しさに運動している」などと報道するのは意図的な歪曲であるばかりでなく、この問題に対する人々の理解を間違った方向に誘導するものです。

TOKYO-MXTVが予断を持たずに少しでも取材を行っていれば、反対運動に参加する多くの人々が手弁当で現地を訪れ、自主的に活動に参加していることが分かったはずです。しかし、私たち「のりこえねっと」関係者は同テレビ局から事前にまったく取材を受けておらず、意見の聴取はおろか単純な事実確認すらされていません。

同テレビ局のこのような報道姿勢は、あきらかに放送法第4条がかかげる「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」という基本的な報道規範を逸脱するものです。

また、これも取材をすれば簡単に分かることですが、ヘリパッド建設を批判する人々の中には日本以外の国籍を持つ人も多数います。米軍基地をめぐる日米両政府の沖縄への強権的・差別的対応は、国籍にかかわらず、この国で生きるすべての人々、とりわけ在日を含むマイノリティにとって重大な問題だからです。にもかかわらず、辛淑玉が在日であるからという理由でその活動を否定的に報道することは兵とスピーチそのものであることを、同テレビ局は深く認識すべきです。

「のりこえねっと」共同代表辛淑玉に関する「ニュース女子」の報道内容は、昨年成立したヘイトスピーチ対策法(「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」)が規定する不当な差別的言動に当るものと言わざるを得ません。

そもそも、同テレビ局が社会における有限の資源である地上波を独占的に利用できるのは、その放送が公共性に資するという前提があるからです。放送事業者はその公共性を自覚し、放送法の理念でもある正確で公正な報道の実践を自らに課す重大な倫理的使命を帯びています。にもかかわらず、今回のTOKYO-MXTVの報道は、この使命に反するものでした。

私たちは、私たち「のりこえねっと」の名誉と社会的信用、そして、共同代表である辛淑玉の人権と名誉を傷つけた同テレビ局の行為に対して、厳しく指弾し、抗議します。

同時に、小なりといえども情報発信を行う市民メディアの一員として、このような同テレビ局の報道機関としての倫理的退廃と社会規範の逸脱に対して、憤りをもって批判し、抗議するものです。

2017年1月5日

のりこえねっと

この抗議声明は1月22日の辛淑玉さんの見解に比べると非常に分かりやすく、「のりこえねっと」の主張が簡潔かつ丁寧にまとめられています。この声明からもハッキリと

「我々の活動は結果として日本社会の民主主義の貢献しているのであり(つまり活動目的が純粋であること)、今回の報道内容は遺憾極まりない。このような報道を行うほうが問題ではないか(不純な動機で報道しているのはあなた方だ)

との意図が読み取れます。では「のりこえねっと」の抗議などに対するDHCシアターの見解はどのようなものでしょうか。(続く)。

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