今回の突っ込まざるを得ないシリーズは、明治時代の琉球新報に掲載されたじわじわくる広告を紹介します。明治33年(1900年)7月15日付で琉球新報は紙面を拡張しますが、実は17日付の2面で新聞広告についての論説を掲載しています。この論説は後日改めて紹介しますが、その内容は新聞広告は単に新聞社の利益のみならず、広告主や読者にも多大な利益になることを丁寧に説明しています。当時の琉球新報が如何に広告を重視していたかを伺わせる内容ですが、では実際にどのような広告が掲載されたのか気になるところです。
実際に当時の新聞をチェックすると大半は真面目な内容ですが、中には突っ込まざるを得ない広告もありましたので、今回はその中から選りすぐりの広告を抜粋しました。読者の皆さん是非ご参照ください。
明治33年7月15日付琉球新報4面 – 広告
廣告は實業家の利器 金儲けの良薬 琉球新報
琉球新報社が4面に掲載した自社広告ですが、イラストが実にいい味を出しています。
明治33年8月3日付琉球新報4面 – 広告
奇効五時間より顕る – 滋強丸 – 無効返金を約す
男女とも夜一服用る秘薬 一度用(は)其奇効不可忘
●腦病一切●陰茎萎縮●手淫諸害●過淫諸病
●腎虛遺精●元氣衰弱●精液欠乏●早衰早漏
●陽物無力●貧血諸病●氣爵諸病●心經不能
無病の人用て見よ忽精氣倍し眼前必快絕感覺
藥僞あり用心 賞狀如山(やまのごとし)
滋養強壮剤の広告ですが、「疲労がポン!」となりそうな極めてうさんくさい製品を販売していいのでしょうか。それと広告内の●手淫諸害の文字がじわじわきます。明治時代も現代人もやることは同じかと思わざるを得ません。
明治33年8月17日付琉球新報4面 – 広告
●わきが 根治確證藥の新發見
従來醫療賣藥其他百方手を尽し到底不治の難症と断念せる腋臭患者は速に當舘新發見の根治藥を施し「生きながら地獄」の苦腦を永遠に脫せよ、いか程重き慢性わきがにても本劑を用ゆれば誓つて根治することを確證す殊に本劑とて一旦全治せば決して再發或は他病を變ずる患ひ無く生涯再び用藥を要せず是れ他にありふれた賣藥と異なる處の本劑一種特有の神効なり患者よ速に此根治的新藥を一試して世人の嫌忌する病根を断絶せよ實に不思議の新發見奇劑なり▴根治的謝狀山の如し來り見よ示す▴藥償輕症根治分藥價送料共六拾●重症根治分同情壹園廿錢●頑固慢性症根治分仝上貮圓卅錢●爲替は神田局あて取組の事●切手代用は必ず二割増の事●着金の即刻送○す●(注意)本劑の大盛を羨み近時績々怪しき無効の類似僞藥顕はる用藥者は深く注意ありて「日新舘藥房製劑」の名義に着目して購求あらんことを乞ふ
專賣 東京市神田區五軒拾九番地 日清舘藥房
この広告からも当時わきがで悩む人が一定数存在していたことが分かります。ただしこの薬を服用することで「生きながらの地獄」から永遠に脱することができたか否かは不明です。
明治33年8月17日付琉球新報4面 – 広告
●奇法奇術大全
此書は和洋古今秘傳中最不可思議なる奇法秘術總百四拾貮點を蒐めたるものにて皆○地に活用し得らるる○の可驚秘傳を頗る叮嚀親切に教授せし稀代の實巻なれば一請之を利用せば實に一法千園の價値あり ●僅かに貯ある殘本五百冊に限り此抵價にて讓る御入用の人は至急御購入あれ ●價金は爲換又は郵券一割増着金即時無税郵活す賣切間近
賣捌 東京淺草黑磐○十六 十善書房
どこから突っ込んでいいか分らないオカルト本ですが、当時も現代人もこの手のうさんくさい話が大好物だなと痛感します。
明治33年8月23日付琉球新報4面 – 広告
電燈の大敵 – 利德且軽便
形狀は圖の如く電燈に似て火は球ホヤ内に直とす故に四方及○界に寸影なく又危険なし油は中形二十五燭燈一夜の費消高一合内外にて足る即ち空氣ランプの三分の一電燈料の四分の一に當る殊にホヤは火の爲め永久破損せず且光力の増減自由又随意の塲所に即時轉用し得る等は電燈抔の及ばざる處なり論より証據實物と証明を見よ
いわゆる油燈の広告ですが、
明らかに放送禁止的なヤバい形状をしていますね……
と思わず図書館で声を出してツッコミそうになったブログ主であります。(終わり)