沖縄水産は復活できるのか

先日(6月24日)、ブログ主はコザしんきんスタジアムにて開催された第100回全国高校野球選手権記念沖縄大会〈2日目〉を観戦してきました。目当てはもちろん第3試合の沖縄尚学vs沖縄水産の試合で、当日バックネット裏はほぼ満席の状態、主催者によると5000人以上が詰め掛けたとのこと。試合結果は翌日の沖縄タイムスより抜粋しますので是非ご参照ください。


沖尚意地の集中打 – 四回打者11人で6得点

大会初戦にもかかわらず、約5千人のファンが詰めかけた注目カード。立ち見客も出る異様な雰囲気の中、四回に打者11人の猛攻で6得点した沖縄尚学がシード校の意地を見せた。比嘉公也監督は「沖縄水産に勝ったことを次に生かさないといけない」と勝ってかぶとの緒を締めた。

目の覚めるような集中打だった。試合に向けて速球対策を重ね、調整は万全。四回、先頭の5番水谷留佳が四球で出塁したのを皮切りに、四死球も絡めて長短4安打とたたみかけた。

継投策もはまった。3点を返された五回2死一、三塁の守りでは公式戦初登板の新垣大介がマウンドに立ち「1番自信がある」直球で3球三振を取り追加点は許さず。九回に登板した元悠次郎も、池間大智主将の「春は後悔しただろ。同じことは繰り返したくないだろ」の言葉に無失点で応えた。

元は「いつもより緊張感のある中で投げられた」と手応えをつかんだ。甲子園に出場した4年前も初戦は沖水と対戦しており、池間主将は「これも何かの縁。沖水と大勢の前で戦えたことに感謝の気持ちを持ちながらプレーした」と胸をはった。(我喜屋あかね)

沖水継投悔やむ

○・・・「継投が大きなミスで内容は互角だった。監督の采配ミスです」と沖縄水産の上原忠監督。その言葉通り、6失点した四回は1失点後に登板した2番手投手も打ち込まれた。上原監督は「緊張もあったと思う。力はあるのに勝たせきれなかった」と悔やんだ。

先発9人中6人が2年生。3年生で主将の知念龍星はベンチから声を掛け続けた。「甲子園出場を目標に沖水に入り、競争が激しい中で一日一日を大切に取り組んできた。最後まで自分たちの野球を出せて悔いはない」と前を向いた。

(注)青字は2年生

なお、この試合についてブログ主は「沖縄尚学の余裕勝ち、沖縄水産はどこまで食い下がれるか。」と予測していましたので、正直なところ五回裏に8-1から3点を返して沖尚先発の左腕知念大成くんをノックアウトしたことにはびっくりしました。「沖尚の余裕勝ち」も根拠があって、いまの沖水の実力では沖尚のディフェンスが破れない、特に捕手のレベルに差がありすぎることを確信していたからです。

ただし実際の試合では沖水が健闘して沖尚を慌てさせましたが、これには理由があります。それはライトからレフトに強風が吹いていて、普段なら平凡なフライ(特にレフトフライ)がこの日に限って頭上を越えるシーンがあったからです。沖水の長打は全部レフトの頭を越えた当りで、それが五回の3得点につながっています。両チームとも露骨なレフト狙い(あるいはフライ打ち)で試合が荒れたのですが、やはり実力差は歴然でした。

参考までに沖縄水産のベンチ入りメンバーを紹介します。(平成30年6月23日 – 沖縄タイムス特別号より)

ベンチ入りメンバー20名のうち半数の10名が2年生、スタメンも6人が2年の若いチームですが、秋季大会ベスト4、春季大会ベスト8の実績を誇ります。しかも公式戦で負けたチームが、秋季は興南(0-2)、春季はKBC学園未来沖縄(3-9)でそれぞれ最強チームと対戦しての敗北です。夏もいきなり沖尚と対戦していますので、これら最強チームと試合をした経験は今後に生きることは間違いありません。

ただし下級生中心のチームだからといって、単純に来年強くなるとも思えないのです。理由は沖縄水産の現2年生には中心となる選手が見当たらないのです。たとえば興南なら来年は間違いなく宮城大弥(投手)、遠矢大雅(捕手)、根路銘大希(二塁手)が中心のチームになります。沖縄尚学は水谷留佳(二塁手)という傑出した選手がいて彼を中心としたチーム編成になるでしょうが、沖縄水産の場合は誰が中心になるのかはっきりしない部分があります。

強いていえば、エースナンバーの國吉君(彼は最速139㌔を計測した本格派右腕)、あるいは投手兼一塁手で打撃もいい上原一帆君や川端琉一朗君(二塁手)あたりでしょうが、彼等はチーム内で傑出しているようには見えません。見事なまでに“帯に短し襷に長し”の状態で来年もチーム作りに苦労するのではと予想しています。ブログ主はおそらく國吉吹君中心にチームを編成すると思っているのですが……

だから沖水の新チームが来年のセンバツ、および選手権に出場するためには、8月に予定されている新人戦で優勝あるいは準優勝すること、おそらくこれが絶対の条件になります。高校生のチームは結果を出すといい意味で激変します。沖水の場合、公式戦の経験が豊富なのであとは自信をつけることです。8月の新人戦で結果を残し、そして秋季大会で一気に頂点に駆け上る。それができない場合は古豪復活にはおそらく時間がかかると予測して、今回の記事を終えます。