子曰君子周而不否小人比而不周

先日(2018.01.02)、当ブログでも記事にしたお笑いコンビの村本大輔氏(37)が3日沖縄でライブを開催し、翌日4日には沖縄2紙(沖縄タイムス、琉球新報)において彼のインタビュー記事等が大きく取り上げられていました。沖縄タイムスは社会面で、琉球新報では何と1面に『隣の人に理解を』の大見出しで掲載されていました。

これらの記事に関して、ブログ主が個人的に印象に残ったことが2つあります。それは沖縄2紙が彼の「朝生」の発言について全くと言っていいほど触れていないことと、彼は自分のことを本音では「無知」と思っていない点(自分なりに無知を装っている)です。「無知は最大の武器だと思う。無知はこれからまだ知らない本を読める楽しさがいっぱいある」とインタビューで答えていますが、彼は自分が本当に無知だと自覚していないから「朝生」で醜態を晒してしまったことと、沖縄に限らず政治ネタを語るときは「無知は最大の武器」にはならないことに早く目覚めて欲しいと思った次第であります。

彼に足りないのは、知識ではなくて「教養」です。足りないどころが絶望的にないとさえ思えるところが怖い。そういうタイプの人間が「沖縄の問題」を語ることの異様さに全く気が付いていないか、あるいは知らん振りして記事を配信しているのが今回の沖縄二紙の村本氏に対する態度と見て間違いありません。

『論語』 の為政編十四 に、「子の曰わく、君子は周して比せず、小人は比して周せず」とあります。意味は「君子はひろく親しんで一部の人におもねることはないが、小人は一部でおもねあってひろく親しまない(『論語』金谷治訳注)」ですが、今回の村本氏と沖縄二紙の態度はまさに「比周(一部でおもねあってひろく親しまない)」と言えます。村本氏はインタビューにて「辺野古(基地建設)に賛成している人とはまだ話していないから話したい」と答えていますが、今後沖縄の問題を語るときは両者の意見を聞いてから「わかりやすくかみ砕いて」発言するよう、沖縄県民の一人として切に願います(終わり)。


沖縄タイムス 2018年1月4日 社会面(24) 

基地ネタ 沖縄を考える契機に

沖縄の米軍基地問題などのネタを漫才で披露し話題となった吉本興業所属のお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さん(37)が3日、那覇市内で本紙などのインタビューに応じた。「僕は沖縄の米軍基地に賛成でも反対でもない。ただ喜んでくれる人がいるから(ネタを)やる」とし「無知でもいい。自分で話を聞いたり、考えたりしながらもっと話そうよ」と語った。

「漫才は不満を言う道具」

「たまたまバトンが伝わっただけ」。村本さんは基地問題を取り上げた理由をリレーに例えてこう述べた。きっかけは友人でジャーナリストの堀潤さんから高江や辺野古の問題を聞いたことだった。基地建設に反対する人が警察に強制的に移動させる様子を見て「なんだこれ」だと思った。沖縄に基地が集中する状況をしり「なぜみんなもっと沖縄のことを考えないか」と疑問に感じたという。

「漫才は不満を言う道具」とも考えている村本さん。1年ほど前、よしもと沖縄花月での漫才で初めて基地問題について触れると会場の拍手がやまなかった。音響スタッフが涙目で「ありがとう」と喜んでくれ、村本さんは「全国でやる」と約束したという。「彼らが喜んでくれるから(ネタを)やる。(本土と沖縄に)溝があるというが無関心な人にはバトンが届いていないだけ」

全国放送された年末の漫才には多くの反響があった。「がっかりだ」との批判や「沖縄を思ってくれてありがとう」という言葉もあった。元日から沖縄を訪れ、会う人に積極的に意見を聞いた。基地問題を長々と語り出す男性や「分からない」という若い女性もいた。あるチョコレート店の店長には「(基地問題を)話すきっかけになった」と言われたという。

村本さんは「人は見たいというものしか見ないが、漫才という楽しいものは、その角度をずらすことができる。今回は辺野古で座り込む人とも話したが、今度は賛成派とも酒を飲んでみたい」と話した。

米軍・原発 毒舌を交えて大事なことを伝えてくれた

村本大輔さんは3日夜、那覇市内の桜坂劇場で「ウーマンラッシュアワー村本の大演説~時は来た…すべての戌どもに村本が吼えて噛みつく2018 in 沖縄」と題する独演会を行った。話題となった年末の漫才が放送されて以降、チケットは完売。若者を中心に310人が訪れ、笑ったり拍手したりして楽しんでいた。

村本さんは予定を1時間延長して約2時間話し続けた。米軍基地や地元福井の原発などの社会問題だけでなく、自虐ネタや身内の話題などを毒舌を交えて話し、笑いを誘っていた。

初めて村本さんの講演を聴いた那覇市の石川夏子さん(22)は「沖縄のことを知らない人が知るきっかけになってほしい」。普天間飛行場の近くに住む宜野湾市の内間庸一朗さん(20)は「改めて基地について考えさせてくれた。行動も示していて説得力があった」と感心していた。

車いすで来た宜野湾市内の木村浩子さん(80)はステージから下りた村本さんとハグをした。「テレビで見て絶対に会いたいと思った。楽しませながら大事なこと、伝えるべきことをちゃんと伝えてくれる。とにかくありがとうと言いたい」と話した。村本さんは3月にも県内で独演会を行う予定だという。

琉球新報 2018年1月4日(木)社会(22

一問一答 村本大輔さん(ウーマンラッシュアワー)

簡単にレッテル貼るな

お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんと県内報道各社の主な質疑応答は次の通り。

ー 沖縄と本土の意識のギャップを埋めたい。どう考えるか。

「(ニュースで)辺野古とかで座り込みをしている人たちが(警察に)捕まえられている映像を見た。なぜこんなことになるのかと(疑問に)思った。なぜ基地を置くのか。なぜ沖縄にいっぱい集中しているのか。」

「僕は基地賛成でも反対でもないけど、もし賛成、反対どちらでも泣いている人がいたら、同じ日本なら『どうしたの』『教えてよ』ぐらいは言えよと思う」

― 漫才で基地問題を発言するのに勇気が必要だったか。

「勇気というよりも、下手に語ったと思われる失礼さや、傷つけたらどうしようかという方が強かったのかもしれない。思ったことは漫才で言いたいと思った」

「無関心な人を傷つけたいんじゃない。沖縄の若い無関心の人に言いたい。無関心、無知は恥じゃない。無知は最大の武器だと思う。無知はこれからまだ知らない本を読める楽しさがいっぱいある。自分は思い込んでいないという思い込みが一番怖い」

「(「THE MANZAI」のネタについては)ケーキに問題を混ぜて食べさせてあげないと(視聴者が)口に入れてくれない。僕が知っている範囲で分かりやすくかみ砕いた。ちょっとの角度が広いものになる。漫才のすごいところだ」

― 辺野古で座り込む人々の話を聞いて何を感じた。

「それぞれの思いを背負っていることが分かった。(座り込み運動を)『金をもらっている朝鮮人がバイトで行っている』と決めつけた方が簡単に語りやすい。例えば1人、地元のばあさんがいたらその声までレッテルを貼ってしまう。でも、ベッド、ソファの上でネットだけで情報を見て、親指一つで世の中を決めつけている人間が、差別にさらされながらあそこ(辺野古)で自分の思いを語っている人間を否定する権利なんて何一つない」

「フランスでは革命があった。ストライキやデモが当たり前。日本では声を上げると『やばいやつだ』というレッテルを貼られる。簡単にレッテルを貼るな。辺野古(基地賛成)に賛成している人とはまだ話していないから話したい」