先日面白いことわざを見つけましたので紹介します。元ネタは論語 – 季氏の一節で、読み下し文と現代語訳は下記参照ください(金谷治著 『論語』 333㌻より抜粋)
読み下し文:孔子の曰わく、君子に三戒あり。少(わか)き時は血気未だ定まらず、これを戒(いさ)めること色にあり。其の壮なるに及んでは血気方に剛なり、これを戒むること闘に在り。其の老いたるに及んでは血気既に衰う、これを戒むること得に在り。
現代語訳:孔子がいわれた。「君子には三つの戒めがある。若いときは血気がまだ落ち着かないから、戒めは女色にある。壮年になると血気が今や盛んだから、戒めは争いになる、老年になると血気はもう衰えるから、戒めは欲にある。」
ことわざ辞典 – 故事・ことわざ辞典オンラインには次のような記述があります。
意味:人格者が自ら慎む三つのこと。青年期の色欲、壮年期の争いごと、老年期の強欲をいう。
なぜこの故事が気になったのか考えたところ、我が沖縄において、昭和25(1950)年前後に生まれた世代がまさにそれで、三つの戒めが最も守られていないことに気がついたからです。少々こじつけですが、
昭和25年前後の世代が成長→昭和45(1970)年ごろに第二次ベビーブームが誕生。
昭和25年前後の世代の壮年期→昭和45年前後は、デモや住民運動が多発、その最たるものが昭和46年11月の沖縄ゼネスト。沖縄の歴史上で最も物騒だった時代。
になりましょうか。このあたりの事情はおそらく日本本土でも同じかと思われます。
この故事における“老年期における欲”は通常は物欲や強欲と訳されますが、ここでは広く意味をとって、「己の思想信条を含むこれまでの人生において積み重ねてきたものを守りたい」という欲求と解釈できます。つまり “老年になったら(思想信条を含む)自己保身のためになりふり構わぬ行動に走るな”ということですが、現在の我が沖縄にはそうではない高齢者たちが散見されます。だれのことを指すかは具体的には言いませんが(笑)。
誤解を招くといけませんので追記しますが、昭和25年前後(に生まれた)世代の民度が際立って低いことではありません。単にこの世代が人口の割合が非常に高いからそうなったのです。だから、優れた人物もいるし、際立ったお馬鹿も存在する、ただそれだけの話です。ただし問題は3つの戒めを守れない高齢者たちが現在の沖縄社会に無視できない影響力を持っていることです。
今後の我が沖縄における最大の課題は、この”老害問題“をいかに適切に処理できるかと考えます。今年の沖縄知事選の結果によって世代交代が一気にすすむことが理想ですが、そう簡単にうまくいくかは疑問です。そして二千五百年前の孔子の時代と現在の沖縄でも(時代背景や政治体制等が異なるにも関わらず)困った人物は共通していることに興味を覚えつつ、今回の記事を終えます。