本日(10月1日 )は、第73回沖縄県高等学校野球秋季大会(以下秋季大会)の準決勝2試合(沖尚vs宜野座、興南vs具志川商業)がタビックスタジアム名護で開催されました。北部地区の宜野座高校がベスト4に進出したこともあり、球場バックネット裏はほぼ満員の大盛況でしたが、第一試合の沖尚vs宜野座の試合の中で比嘉公也監督(沖尚)の凄さを垣間見るシーンがありましたので、当ブログにて紹介します。
※10月7日の三位決定戦および決勝も観戦予定なので、準決勝に進出した4チームの分析記事は後日アップします。
準決勝第一試合は、沖尚先発の入里凛投手(2年)の調子がいまいちで、2回表に先制を許してしまいます(0-1)。それに対して宜野座先発の比嘉翔吾投手の調子はよく、特に牽制がキレッキレで、沖尚のランナーは2イニングで3回も刺される有様でした。
そこで3回裏に沖尚ベンチが動きます。この回の先頭バッター7番の嘉手川外野手(左)が四球で出塁後、
なんと代走が送られたのです。
一巡目のバッター、しかも選球眼よく四球で出塁(ノーアウト1塁)の場面で、いきなり代走は普通ありえません。それはすなわち、ハッキリ言ってこの代走の目的はただ一つ、宜野座の比嘉投手の牽制パターンを確認するためだけに送り出されたのです。
ちなみに、この目論見は大成功します。比嘉投手は1塁ランナーに対して3回牽制を行い、牽制が3パターンあることが判明します。しかも1アウト1,2塁の場面で、比嘉投手は2塁にも牽制を行ったため、1,2塁時の牽制パターンも相手に把握されてしまいます。それだけでなく、彼は塁にランナーがいると、ランナーを気にしすぎるあまり投球リズムが乱れ、コントロールが荒れる傾向まで露呈してしまいます。
つまり、3回裏の代走を送る采配から、沖尚ベンチは相手投手の欠点をすべて把握することができたのです。ちなみにこの回の攻撃は1アウト満塁の絶好機を演出もダブルプレーでつぶしてしまったのですが、4回裏になるとさすがに沖尚の打者は見逃してくれません。4回1アウト1塁で(比嘉投手の)痛恨のボークから、沖尚のタイムリー祭りが開催されてしまい、宜野座バッテリーは致命的なダメージを負ってしまったのです。
この試合は両チームのベンチワークに格段の差がありました。4回裏時点で、沖尚の比嘉監督は先発の入里君をベンチに下げて、5回表から継投策に入りましたが、2番手3番手の投手がノーコン祭り&キャッチャーパニック状態になってしまい、6-3と逆転されてしまうのです。ただしこの采配は先発の入里投手の制球難、しかも2巡目以降は変化球が露骨に狙われていたので、(結果は失敗でしたが)早めに下げる策はありです。
問題は5回裏の宜野座のベンチワークです。4回までに致命的なダメージを負った比嘉投手に対して適切なアドバイスを送った形跡がなかったのです。具体的に説明すると、比嘉投手は1,2回は牽制をしている、3、4回は「させられている」状態になってしまったので、5回以降はベンチから「牽制するな」と強めに指示を送ってもいいケースですが、宜野座バッテリーは4回裏と同じパターンで失点してしまい、6-6の同点になってしまったのです。
そして、なんと6回裏も比嘉投手が続投して、同じような投球内容で致命的な3失点を喫してしまい、これが敗因になってしまったのです。この試合は宜野座高校にも勝つチャンスは十分あっただけに、ベンチワークの差で試合を落とした感が否めません。
というか、3回裏にあんなやりかたで相手投手を丸裸にして潰しにかかる比嘉監督が凄すぎなのです。
ちなみに、第二試合の興南vs具志川商業も、興南の試合運びのエゲつなさにバックネットで唸ったブログ主でありますが、我が沖縄には全国レベル、いや全国トップレベルの “鬼畜監督(誉め言葉)” が2人も君臨している事実に改めて気づかされたブログ主であります。そして沖尚と興南の壁は高校野球の現場からみると予想以上に高いんだなと痛感して今回の記事を終えます。
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