メタボリック琉球

先日ひさびさに唐津一さんの著書を流し読みした際に、興味深い箇所を発見しました。全文を抜粋しましたので先ずはご参照ください。

実践家を説得するには実物で

知識教育については、割り切って丸暗記と考えた。大脳生理学的に考えて暗記は、音楽をつけて、歌にすると入りやすい。昔から節をつけたり、ごろ合わせで覚える方法は日本でもやっている。ルート2は「ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ」、鎌倉幕府の始まりは「イイクニ(1192)つくろう、鎌倉幕府」とやって覚えると、何十年経った今でも忘れないのである。

技能教育は体で覚えるしかない。一種のスポーツと考え、繰り返しの原理を用いる。同じことを何度も練習させるとめ、飽きさせない工夫として、”面白い”とか”興奮する”という要素を織り込み、ビデオを使って直していくのである。

(中略)私が最初シンガポールに行ってしたことは、担当大臣を前にして、私のプランのよさを披露し、彼らを説得する仕事であった。それまでの教育のやり方を全部ゼロから変えろというのだから、並の説得の技法では成功しない。ましてや、日本の学者たちがよく遣う「そもそも教育とは」などという大義や企画意図から話していたのでは、実務家のリー・クアンユーさんあたりが真っ先に席を立つ。私が行ったことは、テープレコーダーを持っていって、彼らの前でいきなりかけたのだ。何をするかと目を丸くしていた彼らが聞いたものは、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の「ドレミの歌」。当時「サウンド・オブ・ミュージック」がちょうど流行りだしたころで、みんなこの曲を知っていた。そして、説得の作業を始めたのである。「この曲を一度聴くと、ドレミファソラシドを全部覚える。知識は、このようにメロディをつけて脳に流し込むと、とても記憶しやすい。知識はこれでいきましょう」と。

シンガポール側はみんな納得である。そのやり方が成功して、シンガポールの教育効果は大変上がったのである。それだけでなく、音楽をつけての丸暗記方法の効果を知ったシンガポール政府は、今でも何にでもメロディーをつけたがる傾向にある。政府広報のテレビコマーシャルにも、実にいいメロディーがついている。(唐津一著『説得の方法』1999年5月刊行 165~166㌻より抜粋)

実はこの方法は2500年前の孔子学園でも採用されていて、当時の教育では「詩経」が最重要視されていました。その理由は文字をスムーズに覚えることができるからです。古代でも現代でも教育の本質は変わらないことに驚きを覚えつつ、では現代の我が沖縄のメタボ化を抑制するには印象的なフレーズにメロディーをつけるのが一番かと思い、イクマあきらさんの『ダイナミック琉球』の替え歌を考えてみました。うちあたい(思い当たる)する読者もいるとは思いますが、個人的には喜舎場泉さんあたりに歌ってほしいと思いつつ今回の記事を終えます。

~メタボリック琉球~

海よ、ワタブーの海よ 民のウェストがきつい

大地歩く人いなく 島の医療費ヤバい

海よ、ワタブーの海よ 民のウェストがきつい

大地歩く人いなく 島の医療費ヤバい

風に吹かれて重い足取りで 夢に吹かれて体重を量る

変わらぬ数字に涙をながし 罪に吹かれて明日を想う

見果てぬ夢は奏でる想い 問いかける未来 ベルトがやばい!

国よ、メタボの国よ 民のおデブが増える街よ

大地歩く人いなく 島の医療費ヤバい

~口説(くどぅち)~

朝は食べずに 昼は外食

おやつバンナイ(たくさん) 夜はビールを!

コーラ大好き 昼は歩かず

ワシタニーセーターヤ メタボバンナイ(たくさん)!

健康診断 だれもうけない

星のコノトハ波に浮かべて 夜空を渡る夢の数値

あしたの朝に体重計がひとつ 数値は想いを寄せて拒否る

名も無きデフの 声無き夢を

道に立つメタボ 風に解き放て

風よ汗臭い風よ メタボの香りがひびく

雄雄しく広げた両手 脇の匂いがキツい

海よ、ワタブーの海よ 民のウェストがきつい

大地歩く人いなく 島の医療費ヤバい