来月26日に、元WBC世界フライ級チャンピオンの比嘉大吾選手(Ambition GYM)が、後楽園ホールで復帰第2戦を行うとのニュースに接し、ボクシング好きのブログ主は、いちファンとして比嘉選手の試合を今から楽しみで仕方ありません。
対戦相手の堤聖也選手(角海老宝石)は日本バンタム級13位のホープで、現在無敗、現在の比嘉選手にとってはリスキーな対戦相手と言わざるを得ません。彼は復帰戦でスパーリングレベルの試合を披露してしまい、その後ジム移籍で練習環境をリセットしましたが、きわめて厳しい試合になると予想されます。(堤選手の情報は以下リンクをご参照ください)
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フライ級で圧倒的な強さを見せた比嘉選手がバンタム級の日本ランカーに通用するか、きわめて興味深い対戦カードですが、それと関連して複雑な思いに駆られる情報も見つけました。彼はバンタムに転級してまだ1試合しか行っていないのですが、なんと承認団体によって世界ランクが付与されているのです。その承認団体はWBA(世界ボクシング協会)とWBC(世界ボクシング評議会)で、BOX.LIVE で確認したところ、
WBAはバンタム級9位
WBCは同8位
にランク付けられています。さすがにリング誌、IBF(国際ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)では同級ラング外ですが、この事例からも、プロボクシングの国際承認団体の迷走・堕落ぶりが伺えて悲しい気分にならざるを得ません。
比嘉陣営が日本ランカー13位の選手と試合を組んだのは、現在の彼のレベルが “その程度” と冷静に判断しているからです。仮にバリバリの世界ランカーである井上拓真選手(大橋)と対戦した場合は、ボコボコにされること間違いありませんし、日本ランカー上位でも今の比嘉選手なら十分対処できると思います。
そんな彼に虎の子の世界ランクを与えたWBAとWBCの本音はどこにあるのか。ハッキリいえば(将来の)世界タイトルマッチで承認料を稼ぎたい、いわば “金のなる木” 扱いで、そのためにいまから囲い込もうとの黒い魂胆があるのは間違いありません。そしてこのような承認団体の姿勢が結果としてプロボクシングの低迷に繋がっていると断言できます。
現在のボクシング業界は、世界チャンピオンの価値が絶賛下落中で、しかもWBAとWBCはベルト乱造でファンから大ひんしゅくを買っています。事実、スーパーチャンピオンとかフランチャイズチャンピオンなど意味不明な “世界王者” が認定され、ベルトの価値のデフレ傾向が止まりません。そんな堕落極まりない承認団体に目をつけられた比嘉選手が正直気の毒になります。
もうひとつ複雑な気分になる点があります。仮に比嘉選手が日本ランカーである堤選手に圧勝した場合、現在の軽量級における階級分けが不要ではとの疑問が出てきます。格闘技における体重差は “絶対” です。それゆえにボクシングでは細かな階級を設定してますが、フライからバンタムへ6ポンド(3㌔弱)も増量して、なおかつ生粋のバンタムクラスに快勝なんてことになったら、ハッキリ言って軽量級における階級細分化を見直したほうがいいです。ただし、細かな階級分けは選手の安全管理の観点よりも、国際承認団体の都合が優先されている部分があるので、おそらく実現しないと思われます。
ブログ主は今回、ボクシングファンとして、現在のプロボクシング人気の低迷を憂う観点から厳しい意見を述べました。比嘉選手を取り巻く環境もいろいろ複雑な部分があるかと思われますが、ボクサーはリング上で対戦相手を倒して己の価値を証明するしか道はありません。いちファンとして今後の彼の栄光を願いつつ今回の記事を終えます。
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