バニラ・エア問題について思うこと

6月29日の沖縄タイムスの28面（社会欄）に「車いす客にはわせる～バニラ・エア　奄美空港で搭乗時」の記事が掲載されました。先ずは全文を紹介します。

鹿児島県奄美大島の奄美空港で5日、格安航空会社（LCC）のバニラ・エアを利用した車いすの障害者の男性が階段式タラップを1段ずつ、腕ではって上らされたことが28日、分かった。奄美空港に車いすで昇降できる設備がなく、社員らから「歩けない人は乗れない」などと迫られたためで、同社は男性に謝罪した。

男性は大阪府豊中市のバリアフリー研究所代表木島英登さん（44）。半身不随で、旅行で奄美大島に向かうため関西空港からの往復便に乗っていた。取材に応じ「（過去には）周りにも搭乗拒否された人が複数いた。歩けないことを理由に乗れないのは差別だ」と同社の対応を批判した。

木島さんは3日、関空の搭乗カウンターで、バニラ・エア社員から奄美空港の状況の説明を受け、一緒に行く友人に手伝ってもらうとして搭乗・到着時には友人が車いすごと持ち上げてタラップを下りた。

5日の復路でも同様に車いすを持ち上げようとすると、同社が業務委託している空港職員が制止。「（往路で）で担いで下りたのは会社の規定に違反している」と指摘し、「同行者が手伝い、自力で昇降できるならいい」と話したといい、木島さんはタラップに座るような姿勢で17段上った。

この問題は30日現在ネット上で炎上する騒ぎになりましたが、ブログ主が違和感を抱いたのは下記の木島氏の発言です（バニラ・エア問題で渦中の木島英登氏が激白「騒動になったのは想定外。僕は終わった話だと思ってる」より抜粋）

＊実際にバニラ・エアのホームページには、車椅子をご利用の方は5日前までに連絡をして欲しいとう旨が記載があった。しかし木島氏は「面倒くさいでしょ。旅行経験なくて不安な人は相談したらいいと思うが、今回、もし事前に相談してたら乗れてなかったと思う」

渦中の木島さんは旅行経験が豊富と聞きましたが、やはり実際に搭乗できるかできないかの事前連絡は行うべきです。その際に搭乗拒否されて始めて抗議すればいいのです。「面倒だから」との理由で連絡せずに現地でひと悶着を起こした責は免れることはできません。

ブログ主も親族に障害者がいます。そして車椅子での移動の大変さと、それを受け入れる側の苦労も身をもって体験しています。例えば結婚式へ招待された際は必ず式場に連絡して、車椅子で移動できるかを確認します。那覇市内のホテルで挙式を行った際に、実際に車椅子で移動できないホールが指定されたときは、ホテル側と交渉して料飲のエレベーターを利用したこともあります。（その際はホテル従業員の付き添いがありました）

バリアフリー社会だからといって障害者がアポなしで自由に訪れるにはまだまだハードルが高いのです。木島さんの問題点は受け入れる側の労力を全く考慮していないことです。そして今回バニラ・エアの対応が迅速だったのは、高く評価できます（木島さんに謝罪し、座椅子型の担架アシストストレッチャーの使用を開始し、階段昇降機の導入を決定）。

移動に困難を抱える人は好きでこのような障碍を抱えている訳ではありません。それゆえに社会全体で配慮するのは至極当然ですが、「障碍抱えているから、健常者は無条件で配慮しろ」という考えは大間違いです。受け入れる側にも労力が発生するのです。今回の木島さんが起こした騒動を顧みるに、一種の驕りを感じざるを得ません。

最後に木島さんのホームページに寄せられた声を上げます。

「当方手足が不自由な者です。あなたは非常識で障害者の盾を不当に扱う障害者の敵です。あなたはただのクレーマーです。最低ですね」

ブログ主も親族に障害者を抱えるものとして、残念ながら上記の意見に納得せざるを得ません。木島さんが今後同様の事件を起こさないことを切に願うのみです。（終わり）

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