去年の8月、プレジデント・オンラインに掲載された “「男性の平均寿命が1位→36位」沖縄があっという間に “短命県” になったシンプルな理由” との記事の中で、平成12年(2000)以降、沖縄の平均寿命に異変が生じたことについての言及があり、その理由として、
「沖縄県の平均寿命が長かったのは、塩分量が適切で脂も少ない伝統的な沖縄料理を食べていたから。米軍基地の影響などでファーストフードを食べるようになってからは、健康診断の結果も悪化していった」と結論づけています。
確かに地元民からすると、至極ごもっともな意見ですが、実は塩分過多はそれだけが理由ではないのです。誤解を恐れずにハッキリ言うと、我が沖縄県民の「食べ方」に大きな問題があり、結果として塩分過多になっているのです。今回はこの件についてブログ主なりに調子に乗って言及します。
30年程前に、「美味しんぼ28巻」で長寿県沖縄の象徴として “ゴーヤーチャンプルー” が紹介されてましたが、その中の1コマに、
沖縄ではこのゴーヤは、ほとんど一年中手に入ります。値段も高くない。
そしてこの素晴らしい沖縄豆腐。
俺は、これこそ究極の長生きのための料理たど思う。
との有名な台詞があります。この漫画のおかげてゴーヤーチャンプルーは長寿料理として認知された感がありますが、興味深いことに、このゴーヤーチャンプルーを含む沖縄料理が短命県沖縄の一翼を担っているのではと思った出来事があります。実際に沖縄の定食屋で提供されているチャンプルー料理をアップしますので、是非ご参照ください。
・今回は我が宜野湾の “お食事処 ちゃんぷる亭” を訪れました。
・リサーチのため、ゴーヤーチャンプル(600円)を注文しました。オーダーから10分程度して、沖縄の定食屋で提供されている典型的な盛り付けのゴーヤーチャンプルー登場します。
・まずは味噌汁からいただきます。塩分控えめの具たくさんで、飲み干すと身体がいい感じで温まってきます。
・つぎにメインのゴーヤーチャンプルーをいただきます。スーチカーのコマ切れ、ハッシュドビーフ、小さく刻んだポークがいい感じの塩味を醸しだし、豆腐はもちろん地元の “島豆腐” を使用、ゴーヤーにプラスもやしを加えて程よいシャキシャキ感を演出、そして卵を混ぜることで味のバランスを上手に取った逸品です。ひさびさに “しにうまい” と実感したゴーヤーチャンプルーでした。
・最後は白米で〆ます。昭和の時代と違って、沖縄の定食屋で白米を美味しくいただけるようになったのは感無量です。
いかがでしょうか。ブログ主としては極めて満足度の高い逸品でしたが、「食べ方」に何か違和感を感じた読者もいらっしゃるかと思います。そう、沖縄では
ゴーヤーチャンプルーはそれだけで食べるものではなく、ご飯と一緒に食べ進む
のが常識です。ちなみに豆腐チャンプルーもフーチャンプルーも同様で、沖縄では定食類は “白米を腹いっぱい食べる” ために濃い目の味付けで提供されるのが一般的です。ちゃんぷる亭のゴーヤーチャンプルーは塩分控えめの味付けでしたが、やはり白米と一緒に食べないと物足りない感が否めませんでした。
定食類は、最初は野菜とお吸い物、その後にメインを食し、最後に白米で〆るのが一番身体に負担が掛からない食べ方です。沖縄の場合はその逆で、ご飯と味噌汁とおかずを一緒に食べるのが一般的で、この点はアメリカ世時代も今も変わりません。つまり、おかずで過剰に塩分を摂取し、なおかつ白米の食べ過ぎで炭水化物も過剰に摂取する食生活が我が沖縄県民の在り方なのです。しかもアメリカ世時代から味覚が激変したため、味付けが濃くなる傾向が強まっている現代は、ゴーヤーチャンプルーを食べると逆に健康に悪影響が出るのも当然なのです。
いくら長寿食とはいえ、こんな食べ方をしたら逆効果だ
と言わざるを得ません。
改善策としては、食育の場において “体に負担のかからない食べ方” の周知徹底、および “おかずだけでも美味しく完食できるメニュー” の推奨が一番かと思われますが、こればっかりは直ぐに改善できる案件ではないので、10年あるいは50年の長いスパンで対応していかざるを得ないと痛感したブログ主であります。