先月22日から絶賛開催中の第106回全国高等学校野球選手権沖縄大会(以下夏の沖縄大会)は、ご存じのとおり興南高校が優勝しましたが、今回は創部3年目で夏の大会決勝まで勝ち進んだエナジックスポーツ高等学院(以下エナジック)の「野球」について、ブログ主なりに言及します。(興南については後日改めて記事にしたいと考えてます)
実は、この記事を書くキッカケは、チャンネル登録している野球探偵(やきゅたん)において、当運営ブログとのコラボと題して龍山暖捕手(エナジック)の動画をアップしてましたが、その中で鈴村スカウトがエナジックのチームについて少し言及していましたので、ブログ主なりに補足説明しておこうと思い立ったからです。
野球ファンならおなじみですが、高校野球には、「守備からリズムを作り、攻撃に繋げる」との “定型文” があります。ちなみにこの命題は、逆に考えると、「守備からリズムが作れないと、攻撃につながらない」となりますが、それにはバッテリーにプレッシャーを与え続ける必要があります。実はエナジックの攻撃スタイルがまさにそれであり、チームとして出塁率を重視、そして各打者が塁に出るために「四球」を積極的に選ぶ打撃スタイルが確立しています。
走塁ミスや残塁は想定内とし、つねに出塁し続けることで、相手チームのバッテリーを心身ともに消耗させ、守備のリズムを乱し、攻撃のリズムを崩す。そして相手がプレッシャーに耐えられなくなった時点で大量点をゲットし、試合を有利に進める。そしてこれをくり返す(ここ重要)。この手で沖尚もウェルネスもやられたのです。
それに対しディフェンスは守備のリズムを作ること、この一点に集約している感があります。ちなみにエナジックは継投策を採用していますが、出てくる投手が(投げ方は多少異なっても)同じタイプなのです。冗談半分でエースにちなんで古波蔵1号、2号、3号、4号なんて言ってましたが、それ故に投手が変わっても配球パターンは一緒なんです。
大雑把にまとめると、攻撃は相手のリズムを崩すこと全振り、守備は自分たちのいいリズムを保つこと、この点に集約してチームが作られている感があります。そしてこの点が重要なんですが、チーム「大方針」のもと、選手たちの考える範囲を狭めて、その範囲内で自由にプレーさせているのであり、
これが世間で喧伝されていた、ノーサイン野球の正体なのです。
春の県大会優勝後、神谷嘉宗監督はマスコミなどに対してニコニコ笑顔でノーサイン野球をアピールしていましたが、夏の沖縄大会を見たブログ主からは、
こいつ腹黒い(だけどこういうのはとっても大好き)
と思わざるを得ませんでした。マジレスすると創部3年目のチームをここまでシステマティックな野球に仕上げて、夏の県大会決勝まで勝ち進んだのは驚異的であり、神谷監督はじめエナジックのスタッフがいかに優秀かが伺える成果を出したを言えます。
ではなぜエナジックが初優勝を逃したのか、ブログ主が思うに、1枚戦力が足りなかったからです。それは短いイニングを140㌔超のストレートで相手打者を力づくで抑え込めるパワーピッチャーであり、今年のエナジックにはこれだけが欠けていたのです。
エナジックは創部3年目であり、まだまた過渡期のチームと言えます。もちろん、今後チームの方針が変化すると予想されますが、沖尚や興南とはまた違ったいやらしくてえげつなく、そして「腹黒い」野球はブログ主的には大歓迎であり、近いうちに甲子園に出場するのも夢ではないと確信しつつ、今回の記事を終えます。
【追記】野球探偵(やきゅたん)のマサミチさん、鈴村スカウト、当ブログとのコラボを企画していただきありがとうございます。これからも時間の許すかぎり沖縄の高校野球情報を提供していきますので、末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。