今月16日投開票の令和6年度沖縄県議会一般選挙(以下県議選)に関して、数日前に “奇妙な選挙” と題した記事を配信しましたが、近年稀に見る選挙結果に興味を覚えたブログ主は、今回の選挙について調子に乗って総括を試みました。
ただし、「総括」という大それたことではなく、ブログ主から見て不思議に思った案件を2、3取り上げて、そこからブログ主なりの “お気持ち” をまとめていきますので、読者のみなさん是非ご参照ください。
まず、今回の県議選は確かに低い投票率が示すとおり、選挙戦があまり盛り上がっていない感がありました。そして与野党の勢力が極めて拮抗しているという事前情報通りの結果になると考えていました。だがしかし投票の2日前あたりから、宜野湾市某所でこの登り旗を見たときに、オール沖縄勢力の負けを確信しました。
理由は簡単で、過去の経験則から選挙に負けそう、あるいは負けがほぼ確定的な陣営が、最後の手段として(対立候補の)ネガキャンに一縷の望みをかけるケースがあったからです。
ところが、ふたを開ければ選挙結果は県政与党であるオール沖縄勢力が予想をはるかに上回る大敗、そして県政野党の自民党と公明党の候補者がまさかの全員当選の結果にはちょっとビックリ。とくに “革新の牙城” あるいは “保守不毛の地” として知られる中頭郡区(定数5)で自民党候補が2人当選、しかも5人目の宮里洋史候補(自民)が、現職の上里善清候補(社会)を振り切って当選を決めたときは、冗談抜きで腰を抜かさんばかりに驚きました。過去の沖縄の選挙常識ではあり得ないことが起こったからです。
他にも糸満や宮古などで番狂わせが続出し、最終的には県政与党側の共産党、社会民主党、立憲民主党が惨敗、とくに共産党は改選前議席の7から4に大きく減らしてしまう酷い有様でした。つまり共産党の強力な組織力をもってしても県政与党側の劣勢を覆すことができなかったのです。この点も過去のオール沖縄陣営の選挙戦からは考えられない事態です。
ほかにも印象に残ったことは、NHK(地上波)や琉球新報の選挙速報(YouTube)において、出演のアナウンサーたちが注意深く「オール沖縄」の用語を避けて選挙結果を報じていた点です。具体的には「玉城知事を支える県政与党」のフレーズを使用していましたが、それはつまり今回の県議選から「辺野古新基地反対」が焦点ではなくなったことをマスコミ側も認めざるを得なかったからです。
ほかにもいろいろ気になる点はありますが、いまは置いといてブログ主なりにまとめてみると、
・もはや辺野古新基地反対運動は(大型)選挙における主要な争点にはなりえない
・玉城知事との連携はプラス面よりもマイナス面の方が大きい
になりましょうか。特にオール沖縄陣営は「玉城知事との連携」が “最大のセールスポイント” でしたが、今回は完全に裏目にでました。それもそのはず辺野古新基地反対運動に代わる別の大義名分で知事との連携を強化しようとした矢先、
玉城デニー知事が唐突に「条件付き給食費半額支援」を打ち出してしまい
そのことが選挙戦において極めてマイナスに働いてしまったからです。
今回の県議選の教訓を踏まえて、当選したオール沖縄陣営の県議は、もしかすると玉城知事と距離を置き始めるかもしれません。そして今後の県政運営において、彼らは「反自民」を軸に連携強化を試みるでしょうが、それだと(前の記事でも指摘したとおり)旧革新共闘会議の伝統に回帰することを意味します。そしてもう一つの悪しき伝統である、
革新陣営の内輪もめ
が絶賛復活するではと期待すらしてしまいます。いずれにしろ今回の県議選で「オール沖縄は終わった」というのがブログ主なりの総括であり、そしておそらく地下の翁長雄志氏も、今回の結果を受けて草葉の陰で泣いているだろうなと余計なことを思いつつ今回の記事を終えます。