少し前の話になりますが、安倍晋三元首相がNATOを例に挙げて、日本でも核共有の議論を進める必要があると発言しました。その後毎日新聞社が「核共有」に関する議論をすべきか否かのアンケートを行なったところ、「議論すべき」が過半数を占める結果がでました(記事は削除済)。
ブログ主はNATOの核共有についての知識がないため、安倍元首相の発言も軽く流していた感がありますが、沖縄タイムスが誇る “アベガー” の第一人者こと、阿部岳記者がこの案件についてコラムを掲載していましたので、試しに全文書き写しました。読者のみなさん、是非ご参照ください。
「議論はすべきだ」という言葉には魔力が宿るのだろうか。毎日新聞などの世論調査結果を見て愕然とした。核共有を「議論すべきだ」が57%と過半数を占め、「議論すべきでない」の32%を上回った。
▷米国の核兵器を日本に置き、同意を得て自衛隊機が使う構想。安倍晋三元首相がテレビ出演して火を付けた。ロシアの侵攻を受けるウクライナが核を放棄した経緯に触れ、「あの時残していれば」と言った。
▷プーチン大統領による核攻撃の威嚇は全人類に対する挑戦だ。ただ、脅威への対抗に核が必要だと言い出すあんら、全ての国が核武装か各共有を探ることになる。
▷米英仏だけでなく、ロシアや中国に核共有を持ち掛ける国もあるだろう。全世界に核が拡散し、偶発にせよ故意にせよ、破滅は避けられない。
▷結局、「核抑止力」も核の力を借りた威嚇で、プーチン氏の威嚇と本質は同じだ。核の恐怖から逃れる道は一つ。人類の名において非難し、保有が不利になる状況をつくり、廃絶に追い込むのみ。
▷万が一、日本が核共有することにあっても、東京には置かないだろう。戦後、米軍支配下の沖縄に核を置かせ、復帰後も有事に持ち込ませる密約を結んで、枕を高くして寝ているつもりになってきた。危険なだけでなく、どこまでも身勝手な暴論。「議論」はただ単に有害である。(阿部岳)
引用:令和4年3月21日付沖縄タイムス1面
参考までに阿部記者のコラムには一定のルールがあり、まず冒頭は “キャッチフレーズ” から入り、その後は主題について説明とそれに対する自己の意見(一般論含む)を述べたあと、エンディングで “オチ” を付ける “テンプレ形式” でコラムを作成しています。今回の “大弦小弦” であれば “「議論はすべきだ」という言葉には魔力が宿るのだろうか” がキャッチフレーズの役割を果たし、安倍元首相の核共有の発言について経緯の説明と核兵器に関する一般論を述べたあと、最後に沖縄を絡めた “オチ” でまとめています。
ブログ主は核共有に関する安倍元首相の真意は測りかねていますが、大弦小弦のコラムを掲載した阿部記者の意図はなんとなく察することはできます。核兵器に関する一般論については当たり障りのない記述ですが、最後に(無理やり)沖縄に絡めたあたり、安倍元首相の発言を利用して
単に購読者受けを狙っただけ
の正義とは無縁のコラムなのです。その証拠に “戦後、米軍支配下の沖縄に核を置かせ、復帰後も有事に持ち込ませる密約を結んで、枕を高くして寝ているつもりになってきた” と言っても、復帰後とくに平成以降に生れた世代には文意が理解できないと思われますが、アメリカ世を生きた世代、特に復帰運動に従事した人たちならピンと来るはずです(沖縄返還密約に関する西山事件は昭和47年度の沖縄の新聞においても大々的に掲載されてます)。
つまり、元権力者の発言を利用して読者に媚びを売る低俗な内容であり、しかも “必ず読者に受ける” と確信を持ってテンプレコラムを作成している節すらあります。ハッキリいって、こんなコラムを有料で読まされる購読者は気の毒であり、
あんたのコラムの方が(タイムスの評判を下げるから)ただ単に有害だわ
と突っ込みを入れたい気分になります。だがしかし、有害だからといっても「書くな」とまでは言えません。彼にはこれからも沖縄県民に上質の失笑をお届けする “使命” があるので、退職金が満額受け取れる定年まで、無事に新聞記者を努めてほしいと思うブログ主であります。