今月1日付琉球新報 “米兵が記者に銃口 - 那覇軍港の警備訓練の取材中” と題した記事がネット上で大炎上、その影響か同社は翌2日の1面で米軍の見解を掲載、3日の8面で “米兵、本紙記者銃口 / 取材への威嚇に抗議する “ と題した社説を掲載していました。
ブログ主は同時期に開催された高校野球に興味が向いていたため、この案件はスルーしていたのですが、沖縄2紙の同事件に関する扱いの違いが気になったので、試しに比較検証記事を作成してみました。読者のみなさん、是非ご参照ください。
最初に当事者である琉球新報社が4月2日付1面で掲載した記事全文をアップします。
銃口「記者指してない」
那覇軍港訓練米軍 – 「意図的」否定
那覇港港湾施設(那覇軍港)で基地警備訓練を実施していた米兵が、基地の外にいた琉球新報記者に銃口を向けた件で、在沖米陸軍は1日、沖縄防衛局を通じて見解を示し、「武器は記者を指していない」などとして意図的に銃口を向けた可能性を否定した。米側は訓練で使用した銃について「全ての武器は弾薬が入っていない状態だった」と説明した。(25面に関連)
琉球新報カメラマンの記者が3月31日、那覇軍港のフェンス沿いに置いた脚立から軍港内の倉庫前で実施していた訓練を撮影。その際に、倉庫から出てきた米兵1人から銃口を向けられた。兵士は民間地域に銃を構えた状態で数秒間、記者の方向いて静止。銃口がカメラと正対した姿が写っている。現場で取材した記者は「明確にこちらを認識していた」と語っている。
これに対し沖縄防衛局は1日夜、米軍へ照会した内容として琉球新報に回答した。回答によると、兵士は記者から約250㍍離れた場所で銃を持ったまま体を左右に回転させ周囲を確認していた。撮影された写真で武器の側面が見えていることや、兵士が照準器をのぞき込んでいないことを挙げ、意図的に銃を向けた可能性を否定した。「250㍍先からズームレンズで写真を撮った者からすれば、武器がその者の大体の方向を指したように見えたかもしれない」などとし、兵士が記者を視認していなかったことを示唆している。松野博一官房長官は1日の会見で「防衛省において事実関係を確認中と報告を受けている」と述べるにとどめた。(塚崎昇平、安里洋輔)
引用:令和04年04月02日付琉球新報01面
同事件については同日の沖縄タイムス2面でも掲載されていましたが、紙面における扱いが小さいため、最初は見のがしていました。全文を書き写しましたので、是非ご参照ください。
記者に銃口 米側否定
那覇軍港訓練「指していない」
在沖米陸軍が3月31日に那覇港湾施設(那覇軍港)で基地警備訓練中、基地フェンスの外で写真撮影していた琉球新報社の写真記者に、兵士1人が銃口を向ける場面があったと同社が報じた件で、米側は1日、「武器は記者を指していない」と報道内容を否定した。沖縄防衛局の照会に答えた。
防衛局によると、米側は望遠レンズで撮影した同記者と兵士は「250㍍離れていた」と説明。「銃を持ち体を左右に回転させる標準的な警備をしていた」とした。「写真で、当該兵士は照準器をのぞいていない。つまり、狙っているわけではなく、訓練で警備すべきエリアを確認していた」として。弾薬は入っていなかったという。
さらに「250㍍先からズームレンズで撮った者からすれば、武器がその方向を指していたように見えたかもしれない」と推察。「武器は記者を指していない。記者に武器が向けられていた場合、武器の側面が見えることはない」とした。
記事で、兵士が記者を目線を合わせたとしていることには「250㍍の距離では不可能。兵士と記者の間にした米側の人員ですら、携帯電話カメラのズーム機能を使わなくては記者が視認できなかった」とした。
松野博一官房長官は1日の記者会見で、「米軍の訓練に当たっては地元への影響が最小限となるよう、引き続き米軍と連携し、適切に対応する」と述べた。
引用:令和04年04月02日付沖縄タイムス02面。
沖縄2紙の同事件における記事を比較すると、明らかに沖縄タイムスの方が米軍側の言い分を正確に掲載しています。特に
250㍍の距離では不可能。兵士と記者の間にした米側の人員ですら、携帯電話カメラのズーム機能を使わなくては記者が視認できなかった
の指摘は重要で、琉球新報の記事ではこの点に一切触れていないのです。
次回はなぜ琉球新報社がこんな精度の低い “飛ばし記事” を掲載したかについて考察します(続き)。