今回は県知事選にインスピレーションを得て、ちょっと黑い話題を提供します。実は我が沖縄の政局を語るうえで欠かせないのがアメリカ世を生きた世代に顕著な “現状維持願望” ですが、試しにブログ主なりにいろいろ考察したところ、興味深いことに気が付きましたので当ブログにまとめてみました。
今回の選挙において、WEB上で公開されている両候補(佐喜眞、玉城デニー)の公約をチェックしたところ、面白い点に気がつきましたので紹介します。ちなみに公約についてすべて説明するのは不可能なので、ブログ主判断で両候補にとって最も重要な主張を紹介します。
まずは佐喜眞候補です。
サキマがやる! 5つの目玉政策
1,日本一子育てしやすい「子ども特区」の導入によって全県で給食費・保育費・子ども医療費の無償化を実現します。
2,コロナでダメージを受けた県経済のV字回復のため観光関連産業を中心に1000億円規模の支援を行ないます。
3,電気、ガス、ガソリン、食料品などの物価高対策で県民の暮らしを守ります。
4,県外飛行場の活用や訓練移転、辺野古の埋立工期短縮などで、米軍普天間飛行場の返還を2030年までに実現し、跡地利用を沖縄の未来を賭けた国家的プロジェクトとして推進していきます。
5,那覇・名護間を1時間で結ぶ南北縦貫鉄軌道の早期実現に向けて具体的取組を開始します。
沖縄再生のための5つの柱
1,コロナ禍や物価高騰で苦しんでいるすべての県民・企業を救う
2,「子ども特区」で日本一子育てしやすい沖縄を実現
3,みんなの所得大幅アップで豊かさを実現
4,すべての県民の命と暮らしを守り抜く
5,いまこと対立から対話へ
サキマの未来政策80 POLICY より引用
次は玉城デニー候補の重点公約を紹介します。
県民の覚悟とともに貫く3つの約束
1,辺野古新基地建設反対をつらぬく
2,米軍基地被害から県民を守る
3,基地の跡地利用で経済の自立へ
玉城デニー 新時代沖縄の、さらに先へ / 誰一人取り残さない、すべてが県民のために
・県経済と県民生活の再生
・子ども、若者、女性支援政策のさらなる充実
・辺野古新基地建設反対、米軍基地問題
・SDGsを柱とした新・沖縄21世紀ビジョン基本計画の推進
玉城デニー政策集より引用
選挙において候補者の公約は「違い」をチェックするのが通例ですが、今回はあえて「共通点」に着目しました。すると重点公約のなかの共通点はただ一つ、それは「子育て支援」になります。参考までの両候補のWEBページを参照すると、子育て支援については事細かく記載されてますが、両者の違いは佐喜眞さんがコロナ対策と並んで子育て支援を最重視しているのに対し、玉城デニー候補は辺野古新基地反対運動がファーストでその他の政策はセカンド扱いになっている点です(ただし子育て支援はセカンドベストの位置づけとなってます)。
一見すると佐喜眞候補の方が合理的な主張のように思われますが、実はそれが大きな落とし穴になっているのです。
その理由についてブログ主なりに解説すると、沖縄の選挙では60歳以上の高齢者の動向が最重要と言っても過言ではありません。そして彼らの一番の関心事は “現在の手厚いセーフティーネットを受け続けることができるか” に尽きます。つまり「子育て支援」を最重視すると、高齢者から見ると、現行のサービスを維持したまま子育て支援政策を行なえるのかという疑問(というか不安)がどうしても頭のなかをよぎります。
たしかに子育て支援は沖縄社会における重要課題なので誰も正面切って反対する人はいません。
だから厄介なのです。
高齢者の本音は “現行のセーフティーネット犠牲にしてまでの子育て支援はお断り” に決まってます。ちなみに復帰前後に10~20代を過ごした世代は沖縄の歴史上最もセーフティーネットの恩恵を受けてます。それは昭和45年から開始された国民健康保険制度で、この制度によって自分たちだけでなく生まれて来た子どもたちにも手厚いセーフティーネットが提供されるようになったのですが、これは沖縄の歴史始まって以来の出来事なんです。
だから、60代以上の高齢者はセーフティネットのレベルには極めて敏感です。それ故に「質が落ちる」と思わせるようなサービスには全力でお断りなのですが、ブログ主が見た限り、佐喜眞候補の公約にはそのような配慮が見当たりません。
しかも、「サキマがやる!」というフレーズですが、彼は有能そうに見えますし、ホントにやられたら沖縄の高齢者の皆さんは戸惑っちゃうんです。「社会のために」と息巻くも気が付いたら自分たちが犠牲になったのでは一番困りますから、彼に投票しない階層(つまり消極的な抵抗勢力、保革問わず)が意外にいるのではとブログ主は推測せざるを得ません。
では玉城デニーも「子育て支援」を打ち出しているではないかと反論する向きもあるでしょうが、そこはご安心ください。
彼は何もできない
という事実がこの4年間で嫌と言うほど証明されたので、高齢者たちは安心して玉城候補に投票できるのです。つまり “辺野古新基地反対運動” という実現不可能な公約を第一にするかぎり、他の公約なんて達成できないだろうとの安心感が玉城デニー氏を支えているのです。そして高齢者たちの理想の環境である “現状維持” が実現するわけです。
これが理想的な無能の効用です。
この度言及した内容は、あくまでブログ主の “作文” なので、読者の皆さんはあまり悲観的にならないでほしいと思いつつも、我が沖縄にはこのような現実があるという事実も直視すべきと実感しているブログ主であります。(終わり)