【高校野球】沖縄大会の決勝を振り返って

先月22日から絶賛開催中の第106回全国高等学校野球選手権沖縄大会(以下夏の沖縄大会)は21日の決勝戦で興南高校が延長10回タイブレークの激闘を制し、4-3でエナジックに勝利、2年ぶり14回目の優勝を決めました。

勿論ブログ主は沖縄セルラースタジアム那覇(以下セルスタ)で試合を生観戦し、帰宅後にQABのアーカイブ動画をチェックした上で、その日のうちに決勝戦の観戦レポートをアップする予定でした。だがしかし決勝の試合展開が余りにドラマチックだったので、思いのほか考えがまとまらず、悩みに悩んだ末に「タイブレーク」に絞って記事をまとめてみました。高校野球好きの読者のみなさん、是非ご参照ください。

過去の決勝戦と比較すると、今年の決勝戦の最大の特徴は史上初めて行われた「延長タイブレーク」です。もちろんブログ主も決勝戦のタイブレークは初体験ですが、数多くの決勝戦の現場で見てきたブログ主も “球場の異様な雰囲気” には驚きを禁じ得ませんでした。

ハッキリいって、平常心でプレーなんて無理無理、それほどの異質な環境のなかで10回の表が始まったのですが、実は表のエナジックが圧倒的に有利な状況だったのです。その理由をあげると、

① 俊足の2番砂川君が2塁、3番眞喜志君が1塁のノーアウト1,2塁の状況。

② バッターは4番龍山君で長打が出れば2点ゲットの美味しい場面。

であり、それに加えて興南ディフェンス陣、とくに初球を投じる金城投手が感じた重圧は容易に想像できます。それを踏まえてブログ主なりに10回表に何が起こったかを解説します。まずは投手金城 – 打者龍山のマッチアップ動画をご参照ください。

この重圧のかかる場面で、進塁打を放った龍山君には凄いと言うしかありませんし、実はバックホームをねらった砂川君の判断は問題ありません。ノーアウト一二塁の場面なので、多少のギャンブルプレーはありなんですが、まさかライトの田崎君からの

145㌔(見た目)のどストライク返球

はエナジック側から見ると、想定外もいいところです。

実はこのシーンで注目してほしいのはキャッチャー仲本くんのプレーです。彼は田崎君のバックホームを冷静に捕球してタッチアウトを取り、かつ一塁から三塁を狙った眞喜志君に対し、すぐさま3塁にスローイングしてフォースアウトを狙っているのです(つまり、セカンドから出ていた指示をちゃんと視認していた)。この異様な雰囲気のなかで見せた仲本くんの極めて冷静な判断力と正確なプレーにはブログ主も驚嘆、バックネット裏で絶叫せざるを得ませんでした(ただし周りの迷惑なので心のなかで叫んでました)。

※ちなみに球場の雰囲気が如何に異様だったのは、動画の最後あたりで興南の選手たちが拳を突き上げてエキサイトしているシーンからもハッキリわかります。興南の選手たちは試合中にこんなオーバーアクションは絶対といっていいほどやらないからです。

興南ディフェンスのスーパープレイで追加点は阻まれましたが、エナジック側はワンアウト一三塁とまだまだチャンスが続きます。続く打者は5番新里君(左打者)ですが、興南ベンチはここで田崎君を再登板する決断を下します。そのときの動画もご参照ください。

※ブログ主もバックネット裏でエキサイト。スマホを持つ手が震えてしまい、動画最初の部分がぶれぶれになってます。

このシーンは初球に注目していただきたいのですが、興南バッテリーは変化球でストライクを取ります。その後盗塁を仕掛けた一塁ランナーに対し、キャッチャーの仲本くんは三塁ランナーを一瞬牽制する動きをした後、2塁にスローイングしています。

そして運命の2球目、田崎くんが投じた変化球を新里君が空振り、そして飛び出した3塁ランナーがアウトになってしまいます。ハッキリいって田崎君が投じた変化球は甘々の絶好球だったんですが、それを空振りしてしまう打者、やはりエナジックのナインも想像を絶する重圧に晒されていたんだなと痛感したシーンでした。

そしてバッターの動揺を見逃さなかかった興南バッテリーが3球勝負をしかけて見逃し三振。スリーアウトの流れです。

いかがでしょうか。10回表は田崎君の超人的な活躍が目を惹きましたが、実際のところ仲本捕手の冷静な判断力がエナジックの攻撃を食い止めていたのです。そして甲子園がかかった延長タイブレークという “異常な空間” のなかで最も冷静なプレイヤーを抱えていた興南が結果的に勝利したとブログ主は確信しています。

ブログ主は、沖縄の高校野球の歴史に残る激闘を見せてくれた両チームの選手たちに最大限の敬意を表しつつ、今回の記事をまとめた次第であります。

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