既にご存じかと思われますが、第105回全国高等学校野球選手権記念大会(以下夏の甲子園大会)にて、我が沖縄代表の沖縄尚学は、第一試合において神奈川代表の慶應義塾高等学校(以下慶応)に7-2で敗れてしまいました。
ブログ主はこの試合をTV観戦してましたが、4回裏に沖尚の4番仲田投手の2ランが飛び出し、直後の5回表の慶応の拙攻でゼロに抑えたあたりから、当初予想したロースコア勝利(4-2)を半ば確信してましたが、6回表に予想だにしなかった展開で一気に慶応が試合をひっくり返しました。
大雑把にまとめてみると、6回表1アウトランナー2塁で、慶応は2番打者の八木君(左)。沖尚の投手、東恩納くんはここまですべてスライダーを投げていたので、八木君にはストレートで攻めます。1球目は外角ストライク、2球目はインハイでストライク。そして八木君は2球目のインハイを打ち損じます。
2球目のインハイ直球と真ん中に抜けるスライダーは慶応左打者の狙い球なので、打ち損じた八木君は動揺します。そして3球目の外角高めの釣り球についうっかり手が出てしまいますが、それがなんとレフト前に落ちてしまったのです。(一級速報を参照)
https://vk.sportsbull.jp/koshien/senshuken/sokuho/?game_id=2021019173&serial_id=06103
八木君に投じた外角高めのボール球は、沖尚バッテリーの意図した投球で、本来ならファール、あわよくば空振りになるはずでしたが、それがヒットになってしまいます。打った本人も(打撃的には)褒められる内容ではないため???の感じだったかと思われますが、それ以上に動揺したのが東恩納投手で、この後スライダーの制球が乱れまくり、3番に四球を出したあとは、吸い込まれるように慶応右打者が狙っていた高めのストレートと、左打者に対してはど真ん中スライダーを投げてしまい5失点降板となってしまいます。
※バーチャル高校野球の1球速報を参照すると、八木君以降の3番から6番打者まで、東恩納くんは制球が乱れてしまい、右打者の外より高めストレート、左打者には真ん中スライダーを投じてしまい、ヒットを打たれているのがわかります。
印象的だったのが、エースの動揺があっとういうまにチームに伝染し、ライト糸数君のエラー、変わった儀部投手もストレートを高めに投げてしまい失点を重ねてしまい、極めつけは7回表にキャッチャー大城君のパスボールで致命的な7点を献上してしまった件です。つまり、1本の予期せぬヒットから一気に流れが変わってしまい、その結果、
沖尚ナインを集中力が切れてしまい、反撃する力を失ってしまったのです。
個人的に興味を覚えたのが、慶応の各打者が8回と9回もプレッシャーを与え続け、沖尚ナインの途切れた集中力が回復するスキを与えてくれなかった点です。このあたりは激戦区神奈川代表、かつベスト8まで勝ち進んだチームだなと感心しました。そして東恩納君がノックアウトされ、慶応に負けたのであればしょうがないなと納得せざるを得ません。
この敗戦は沖縄の高校野球にも大きな影響を与えると思われますが、それを踏まえて今後のトレンドを予測すると、
・先発完投型の投手よりも、短いイニングを8~9割の力で得意球を投げるタイプのピッチャを複数擁する運用方針、具体的には仙台育英型のチームが増えるのではないか(例、エナジック)。
・来年選抜からバットが変わるので、左はストガイ系パワーピッチャー、右はカットボーラーが激増する。田崎颯士投手(興南)がまさにそのタイプですが、おそらく数年後には(全国的に)左投手の球速が劇的に上がってくるのではと予想できます。
・対する打者はストレートの対応力をもっと上げないと全国では勝てないと痛感。具体的には今年の沖尚の数少ない欠点の一つが「ストレートの対応力」であり、実際に試合では打ち損じの多さが目立ちました。
今年の沖尚は現代沖縄野球の “完成形” であり、3大大会出場(神宮、春2勝、夏ベスト8)という(申し分のない)実績を残しましたが、夏を制するにはまだ足りないものがあることを示してくれました。もちろん “制覇” までの道のりは険しいのですが、今回の敗戦を糧に後輩の高校球児たちがいつの日か夏の大会で優勝する日が来るまで高校野球を暖かく見守っていこうと改めて決意したブログ主であります。
最後に、沖縄尚学ナインの皆さん、お疲れさまでした。そして「いい夢見せてくれてありがとう」と心からの感謝を申し上げて今回の記事を終えます。