沖縄の高校野球は弱くなったのか – その1

今月18日から阪神甲子園球場で第94回センバツ高校野球が絶賛開催中ですが、開幕試合で我が沖縄出身の宮城誇南投手(浦和学院)が見事な投球を披露し、13奪三振を奪ってチームに勝利をもたらしました。

沖縄の球児が県外の強豪校に進学してレギュラーを勝ち取り、甲子園で活躍するのはもはや珍しくありません。だがしかし、野球留学生の活躍とはうらはらに、沖縄の高校野球が「弱くなった」との風評が聞こえるようになりました。

ブログ主は「沖縄の高校野球が弱くなった」という風評には反論せざるを得ませんが “沖縄の高校野球が弱くなったように見える” 件は否定できませんので、この点について当ブログで2回にわたって言及します。

まず、沖縄の高校野球は決して弱くなったわけではありません。参考までに興南高校が春夏全国制覇をした平成22年(2010)以降、平成23年(2011)から令和3年(2021)までの夏の戦績を振り返ると、初戦の成績が7勝3敗と大きく勝ち越しています。ちなみに平成26年(2014)と平成27年(2015)はベスト8に進出してますし、夏の大会の成績だけを見ると弱くなったとは思えません。

春の選抜は(21世紀枠出場も含めると)、平成23年から令和3年まで4回出場し、初戦の成績は2勝2敗です。だがしかし、平成26年に出場した沖縄尚学がベスト8に進出し、21世紀枠で出場した具志川商業が初戦を突破しているので、弱くなったとは断言できない成績と言えます。

ブログ主が沖縄の高校が弱くなったと思えない理由のひとつに、明らかに戦力が上のチームに勝った試合があるからです。平成24年(2012)の夏の甲子園初戦で愛工大名電に勝利した浦添商業、平成26年(2016)夏の大会で前橋育英に勝利した嘉手納は沖縄の高校野球史上に残る “Upset(番狂わせ)” ですし、平成25年(2015)夏の興南vs関東一、令和元(2019)夏の沖縄尚学vs習志野、あるいは令和3年(2021)春の具志川商業vs福岡大大濠の試合は格上チームに対してあと一歩で勝利するところまで相手を追い詰めました(その証拠に相手チームは次の試合で大敗します)。

つまり、個々の試合を振り返ると沖縄の高校野球が弱くなったわけではありません。ではなぜ弱くなったと思われたかをを考察すると、

1.平成20年(2008)と平成22年(2010)の成績のインパクトが強すぎたこと。

2.平成22年の興南高校の春夏連覇後に、野球留学が盛んになったこと。

3.県外の公式戦で安定した成績を残してきた沖縄尚学や興南が初戦で負けるケースが増えてきた。

あたりでしょうか。3番に関しては確かに興南高校は平成22年(2010)の秋の九州大会で九州学院に負けてから、平成29年(2017)秋の九州大会まで初戦敗退が続きましたし、沖縄尚学も平成24年(2013)の選抜、令和元年(2019)の夏の大会は初戦敗退で、令和2年(2020)秋の九州大会でも珍しく初戦で敗退しています。

だがしかし、一番の原因は平成28年(2016)から令和04(2022)まで

7期連続で春の選抜に出場していない

から “弱くなった” と誤解され続けてるのです(具志川商業は21世紀枠なので敢えてカウントしていません)。

ブログ主はとあるデータから、なぜ沖縄の高校が秋の九州大会で勝てなくなったか理解できましたので、次回この点について詳しく説明します(続き)。