ロックとコザ(1994)川満勝弘(愛称:カッちゃん)編 – その17

□ディズニーランドで演奏 私たちが最初にアメリカに行って公演したのは、何年のことだったか覚えていないのですが、新聞に載っていたと思いますよ。アメリカのディズニーランドにある大きな野外劇場で、ジャパンフェスティバルというものがあったんです。テレビはNHKしか入れないということでした。

そこで、むこうのウォルトディズニーの会社から「ロックバンドも一つ欲しい。日本にもロックバンドが一つぐらいあるだろう」ということで、NHKが日本中捜したわけです。

ジャパンフェスティバルだから、日本の古典芸能とか能とか民謡とかいろんなのはあるんだけど、まだあの時分ロックというのは西洋の音楽でしたから、日本中を捜しても日本を代表してディズニーランドに送るようなバンドがいなかったわけです。それで、誰を行かすかということでNHKはもうたいへんだったはずですよ。

それで、あの時分にアメリカに通用するバンドというのは、英語もペラペラで、

もうやり方もみんなおかしい連中の「コンディショングリーン」しかいない

ということで、NHKから連絡がきたわけです。

電話で「こうこうしかじかでコンディショングリーンに決定しました。行っていただけますか」といってきたので、私が「どこにですか」と聞いたら、「アメリカのディズニーランドです」というので、私は「ああいいですね」といって決まったんです。

そういうことで、ディズニーワールドに行ったら、私たちが一番表彰されましたよ。ディズニー映画がありますでしょう、あのミッキーマウスとかいろいろいて、さすがディズニーランドですね。

一応、北海道からのすべてのジャパン(日本)の伝統芸能を誉めたたえてですね、それから私たちだけステージの上に上げられて、「このコンディショングリーンというバンドは、会場のすべてがもう沸き立っていた」といわれたんです。

日本の伝統芸能というのは、アメリカ人にはあまりにも違いすぎるから「これはチーズバーガーでこれがお米か」という違いで見るし、スキヤキとチーズバーガーの違いで見るんですけど、ところが私あっちの場合は「こいつら本当に日本人か、アメリカ人よりアメリカ人みたいよこいつら」となってしまったんです。そしたら、客席では「I know you(俺、お前たち知っているよ)」、「沖縄で見た、沖縄で見た」といって、もう沖縄にいた連中がみんないるわけです。これが総立ちになって沸き立っているから表彰されたわけです。

このとき、でっかいレセプションホールで私たちは表彰されて、ディズニーランドの社長、会長、映画会社からも表彰状をもらったんです。もちろん立てておいたのですが、しかし、ウリ・ターガ・マーカイ・ムッチャン・ジャガ、ムル・ワカラン。ジュンニ・フラー・ル・ヤンロー・ワッター。すべてあれが入っているのをムッチ・チャーナ・カイ、ムル・マーンカイ・ウチャガ・ムル・ワカラン(しかし、これ誰がどこに持っていったのか全然わからない。本当にバカですよ俺たち。表彰状が全部入っているのを持ってきたのに、全部どこに置いたのか全然わからないんです)。こんなもんですよ、あの復帰前に儲かったのと同じです。

そのときの演奏は、まずはじめに「ワッター(俺たちは)日本国の者だけど、日本よりもちょっと下の沖縄というところから来た。そこのワッターが住んでいるところの音楽をやりましょうね、最初に」とこれを英語で全部いって、琉球メロディーはシンキが得意ですから、もうみんなアレンジで、カチャーシーからようするに沖縄の童謡などをサンシン(三線)とかで、誰の曲じゃなくて、そういう雰囲気のする旋律をやるわけです。だから、ギブアンドテークでワッター(私たちが)どこから来たかということを教えてあげるわけです。

また「日本本土はこういう曲もあるよ、日本の曲もやりましょうね」といって、日本の曲も二、三曲またベースがいたずらでやるわけです。

そして「イッター(お前たち)国の曲もわかるよ。じゃ俺らが聞いたアメリカの曲もやろうな」といってロックをやったんです。これは沖縄で聞いてわかっていることですし、やっていることですから、一番人気のあるものを全部五、六曲やったらもう総立ちになったわけです。

最後に、「じゃオリジナルをやろうな」ということで、二、三曲やったらもうバカ受けだったんです。「汽車ポッポ」をやったら、観客は「アーヤー、デージ・ヤッサー(あらあら、たいへんだな)」とか、「アイエー・ナー(感嘆詞)、ウヌ・バンド・ナー・デージ・ヤッサー(このバンドはもうたいへんなやつらだな)」と思っていたはずです。

そこでは、鶏のとかはやっていませんよ。ああいうところでは蛇とか鶏は出しませんよ。だから時と場合に応じたやり方をしないと、暴走したらだめです。私は「やれ」といわれたらやるタイプですけど、私たちはパチする人(叱ってくれる人)がいないんですよ。そういうときは「だめよ」っていわないとやってしまうんですよね。