エルダリーバルジ(elderly Bulge)の弊害

今回ブログ主は、昭和55(1980)年から現在にいたる我が沖縄県における人口動態を再度チェックしたところ、実に面白いことが確認できたので当ブログにアップします。以前全人口における若者人口(15~24歳)までの比率を調べたことがあり、今回はそれに加えて(全人口に占める)65歳以上の人口も計算してみました。

参照:沖縄県の5歳年齢階級別人口の推移

2020年は予測値を利用しましたが、平成以降若者人口の比率が下がっていくこと対し、65歳以上の人口比率は右肩上がりで急上昇しているという事実が確認できます。冗談抜きで現代は5人に1人が65歳以上の高齢者社会であり、政治や経済がこの階層を無視することができないことがハッキリ分かります。21世紀は“エルダリーバルジ(高齢者急増)の時代”と言っても過言ではありません。

我が沖縄におけるオール沖縄の支持基盤がまさに65歳以上の世代で、彼等は昭和25(1950)年前後のベビーブームに誕生し、20代前後において復帰前の沖縄社会の熱気を体験していることが特徴です。彼らの人口における比率を再確認するとオール沖縄の勢力が強いのも納得で、現代の沖縄は社会の価値観が極めて変更しにくい状況であることも理解できるのではないでしょうか。

それゆえに2月4日の名護市長選挙の稲嶺進候補(前市長)の敗北は衝撃的な出来事でした。期日前投票における出口調査で、10代から50代まではすべて渡具知候補が圧倒していたデータにも驚きましたが、これらの事実は沖縄における旧革新勢力が有権者たちから高齢者たちの利益代表者と看做されていることを暗示しています。つまり彼らは生産年齢人口(15~65歳)の利益を代表していない、具体的には勤労者の味方ではないと思われているのです。

1月14日に麻生太郎副総理が福岡県の後援で「企業利益の割りに、労働者の給料が上がっていない。給料が賞与を上げてほしいと今の政権が経団連に頼んでいるが、本来は連合や野党・民進党(当時)の仕事だ。連合は、陳情は自民党、選挙は民進党。あほらしくてやってられない。」と発言していますが、名護市長選における結果を考慮すると麻生副大臣の発言には信憑性があります。

現代の沖縄の最大の問題は、中国の脅威などではなく生産年齢人口の利益を代表する政党の不在です。代わりに政権与党である自民党がその役割を担当している現状は確かにおかしい。自民党は国民政党であって、労働者だけでなく、若年から高齢者、あらゆる産業の支持団体を傘下に抱えていますので勤労者を重点的にフォローするのは正直難しい。そのために野党が存在するはずですが、現在のオール沖縄にはその常識が通用しないように見受けられます。こんな調子では若者世代から見捨てられるのも当然で、今年の沖縄知事選挙でオール沖縄の候補が敗北した場合、旧革新勢力は没落一直線になるのではと思わざるを得ません(終わり)。


【追記】

2月5日のBSフジの報道番組「プライムニュース」にて、伊波洋一参議院議員の発言が物議をかもしていました。番組内の討論において司会者が「パンダが映画館に負けたという選挙戦になってしまいますね」の発言に「まぁ、そういうことになりますね」と返答し、ネット上で炎上する騒ぎになりました。今回の選挙は「スタバ&映画館vsパンダ」の構図もあったと説明したかったのでしょうか、この発言はいま振り返ると非常に興味深い。

日本に始めてパンダが贈られたのが昭和47(1972)年、そして空前のパンダブームが到来します。「客寄せパンダ」という言葉が誕生したぐらいの人気ぶりでした(なおブログ主は上野動物園でカンカンとランランを見学したことあり)。それ故にパンダは“昭和の象徴”と考えることができます。

対するスタバ(スターバックス)は平成14(2002)年6月に沖縄一号店(国際通り)開店で、典型的な平成あるいは21世紀の娯楽になります。つまり「スタバ&映画館vsパンダ」の構図は言い換えると「昭和vs平成(あるいは21世紀)」の意味し、洋一さんは暗に「稲嶺陣営は昭和の発想だから選挙で負けた」と認めているわけです。ブログ主が思う以上にオール沖縄は現状を深刻に受け止めているんだなと実感せざるを得ません。

【参考】

〈名護市長選〉パンダがスタバと映画館に負けた?

名護市長選挙が示した民意は?!渡具知経済政策に負けた稲嶺パンダ経済政策?!地方紙を読まない選挙に行かない若者が動いたネット!【荻生田光一×山下芳生×伊波洋一×ロバート・エルドリッチ】25~26分30秒あたりに注目。

https://www.youtube.com/watch?v=wiVhiou-1n8